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プルトニウム大量保有国・日本 放射性廃棄物の処理、未解決のまま核燃料サイクル維持か

文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授
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地層処分

 現在では、高レベル放射性廃液をガラス原料と混ぜてガラス固化体にして「地層処分」するのが、もっとも確実で実現可能性の高い処分方法であることが国際的な共通認識となっている。高さ約1.3メートル、直径約40センチ、容積約150リットル、重さ約500キログラムのガラス固化体を製造することで放射性物質が水に溶けにくい状態にして、これを厚さ20センチの炭素鋼容器に入れ、さらに厚さ70センチの粘土鉱物を用いた緩衝材で覆ったうえで、地下300メートル以深の地下施設に埋める計画だ。地下深く埋めることで、人間の活動や天然現象から隔離できる。また、地下深部の特徴として、地下水の移動が非常に遅い、酸素がほとんどなく金属腐食が起きにくいという点が挙げられ、また、天然の岩盤は放射性物質を吸着する性質がある。

 使用済み核燃料やガラス固化体は当初は猛烈に放射線量が高いが、時間の経過とともに放射能は急速に低減する。人間の生活圏から離れた場所に長期間確実に留め置くことができれば、放射能は急速に低減し、1000年で約数千分の1になる。ガラス固化体製造から1000年後には、東京・米ニューヨーク飛行機往復や胸部のX線撮影による被ばく量より小さくなるといわれている。

 この地層処分の方法が、子孫に負担を先送りしないもっともよい方法というわけだ。
(文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授)

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