1月に民事再生法を申請して破綻したスカイマークは、インテグラルが資金スポンサーとなって180億円を出資する一方、共同運航や機体整備などでANAが事業を支援する再生計画をまとめた。日本航空とANAに対抗する航空業界の「第3極」として発足したスカイマークには、収益力が高い羽田空港の発着枠が優先的に割り振られている。ANAの狙いはこのスカイマークが持つ羽田発着枠だ。他社にとられないよう、スカイマークの支援に乗り出した。
これに対し、ANAに対抗するかたちで支援企業に名乗りを上げたデルタも、真の狙いはこの羽田発着枠の確保であった。ただ、デルタはスカイマークの大手債権者である米国のリース会社と組んだものの、有力な資金スポンサーを確保することができなかったという。ここでインテグラルが奇妙な行動を見せた。
「実はデルタは、ANAのパートナーであるインテグラルに資金援助申し出を打診し、インテグラルはデルタの申し出を了承したのです。インテグラルからみれば、スカイマークの事業支援を任すのはANAだろうがデルタだろうが、どこでも構わなかった。彼らの興味はファンド資金に損失を発生させることなく、利益を最大化することのみ。つまり、ANAの敵であるデルタに“保険”をかけたということなのです」(航空業界関係者)
インテグラル代表である佐山展生氏は9年前、M&Aコンサルティング、いわゆる村上ファンドが阪神電鉄株を買い占めた際、経営統合協議を進めていた阪急電鉄側のアドバイザーに就任し、村上ファンドとの交渉役を務めたことがある。
スカイマーク支援にあたってインテグラルは、「3年後の再上場を目指す」と公言している。インテグラルは今後、再上場時に持ち株を売却し、利益を最大化するとみられるが、業界内ではその手法に対する評判は芳しくない。村上ファンドとの一件を知る関係者は、「インテグラルに掻き回されて、スカイマーク支援はうまくいかないんじゃないか」と冷ややかな見方を示す。
(文=編集部)