5月末、ディー・エヌ・エー(DeNA)とZMPが、合弁会社・ロボットタクシーの設立を発表したことが話題になった。
ZMPは、2001年に谷口恒社長が二足歩行の人型ロボット関連の研究を事業化するかたちでスタートした、ロボット開発のベンチャー企業だ。社名のZMPというのは、二足歩行ロボットの歩行実現において最重要な「ゼロモーメントポイント(動力学的な重心位置)」を意味する。
同社が自動車関連の事業を始めたのは、09年だ。実車の10分の1サイズで自動運転の実験車両を発表し、その2年後には、トヨタ車体の超小型電気自動車(EV)「コムス」をベースとした1人乗りロボットEVを開発している。谷口社長は当時について、「やはり、サイズの大きい実際の車両にロボットを適合させるのは、予想以上に大変な作業だった」と振り返る。
同社はそれ以降も、12年にトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」を、13年には同じくトヨタのプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」をベースとしたロボット車両を発表している。これらは、自動車メーカーや自動車部品メーカーをはじめ、大学などの教育研究機関における実験用プラットフォームとして重宝された。
さらに、14年には名古屋大学大学院およびソフトウェア開発のアイサンテクノロジーと連携し、愛知県名古屋市内の一般公道で自動運転の公道実証実験を行った。同実験は、愛知県の「新あいち創造研究開発補助金」の補助事業対象となっている。
こうした一連の流れが、DeNAとの合弁事業につながったわけだ。
ZMPフォーラムで感じた「追い風」
「急激に拡大しているな」
ZMPが8月に開催した、自社製品と事業計画の説明会「ZMPフォーラム」に足を運び、筆者はそう感じた。
フォーラム開催の前日、会場の東京・ベルサール六本木では、ZMPとソニーモバイルコミュニケーションズの合弁会社・エアロセンスの設立記者会見が開かれ、テレビや新聞をはじめ多くのメディアが詰めかけた。