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これは、まさに経営者の意思の問題といえるでしょう。個別のプロモーションではそれほど大きな売り上げが得られなくても、それらをこまめに繰り返していけば、全体としての売り上げを着実に積み上げることができるかもしれません。部分に潜むチャンスを見つけて販売努力を積み重ねることは、まさにボトムアップ型アプローチといえるものです。
もうひとつの問題は、上述のような併買傾向が、機械的な計算だけから現実的な時間内に発見されるかどうかです。品目の数は膨大で、顧客特性や時間帯まで考えると検討すべき組み合わせの数は天文学的数字になります。しかし、現場のマネージャーの気づきをデータで検証したという話なら、もっと現実的です。『鈴木敏文の「統計心理学」』(勝見明/日経ビジネス人文庫)によれば、セブン-イレブンではそれが実践されているようです。
つまり、ビッグデータからマイニングを行う場合、現場での気づきとか、特定の製品へのこだわりとか、与えられた「場所」から出発して局所的に探索するほうが現実的だということです。計算上も探索の初期状態が固定され、分析範囲に制約があるほうが効率的になります。部分を掘り下げることで得た知識を積み重ね、範囲を周囲に拡大していくボトムアップ型アプローチは、ビッグデータ時代だからこそ基本になると筆者は考えます。
なお、今回の問題についてもっと詳しく知りたい方は、「組織科学」(白桃書房/6月号)に掲載された拙稿『マーケターが見るビッグデータの夢はかなうか?―トップダウン発想 vs. ボトムアップ発想という視点―』をご覧ください。
(文=水野誠/明治大学商学部教授)
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