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1兆円超に上る巨額の負債返済を最優先する国土交通省や財務省は、落札額の変更に難色を示したため落札額は変えられない。そこで運営期間が44年間と長いという経営リスクを軽減するため、途中解約を認めた。
5月22日、1次入札に参加したのは、オリックス=バンシ連合だけだった。ライバル各社が「リスクが高すぎる」と見送る中、オリックスの井上亮社長は「オリックスが力を入れている商業施設運営と相乗効果が期待できる」と意欲満々だった。
リスクの海
オリックス=バンシ連合には、関西を事業基盤、発祥の地とする企業が参加、「オール関西」の体制が整った。だが、前途洋々というにはほど遠い。
空港運営は大規模災害や景気、国際情勢など外部環境に影響を受けやすく、経営が大きく左右される。1998年、33の空港の運営権が一括売却されたアルゼンチンでは、民間に移行後に起きた経済危機で航空需要が低迷し、経営が行き詰まった。昨年末の事前審査に通過した企業のほとんどが、2兆2000億円という巨額の最低落札額と、45年間という運営期間の長さから応札を見送った。
オリックスは「関空の現状を変えていけば収益は上がる」と自信を見せているが、ライバル企業が懸念したリスクが消えたわけではない。
関空は大阪南部・泉佐野市の沖合5キロの海域につくられた。大量の土砂を埋め立て人工島をつくり、人工島と陸地とを鉄橋を結ぶという難工事の末に完成した。この工事はスエズ運河に並ぶ大工事といわれた。
関空を計画したのは関西の財界で、当時の中曽根康弘内閣がゴーサインを出した。しかし、計画には誤算があった。利権が複雑にからみ合い、総工費は1兆5000億円に膨れ上がった。「関空は利権の海に出現した海上空港」とまでいわれた。
時代が移り、その関空の運営権は売却されたが、「今でも新関空はリスク満載の空港」(関西財界筋)との声も聞こえる。
(文=編集部)
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