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重しになるのが国内の損保事業。合理化が急務だが、横たわるのが三井住友海上火災、あいおいニッセイ同和損害保険の中核2社の合併問題。中核の損保事業単体では損保ジャパンと日本興亜損害保険の合併・新会社誕生で、三井住友が3位、あいおいが4位。三井住友社長も務める柄澤社長は合併にも含みを持たせるが、2社の規模に大きな差はなく、損保ジャパンが日本興亜を事実上飲み込んだような合併は描けない。合併すれば軋轢が生まれるのは不可避だろう。
おまけに、大人の事情もそこにはある。
「人口減少、車離れの進行に伴い縮小する国内損保市場で安定して利益を見込めるのが法人向け。特に両者はそれぞれトヨタ自動車のビジネスに食い込んでいるが、合併した場合、トヨタが一社にビジネスが偏るのを嫌い、シェア調整は必至。合併で合理化効果は見込めるが、法人向けビジネスでのロスも小さくない」(競合他社幹部)。
損保事業の合併での合理化や成長戦略が見えにくい以上、ボリュームの底上げや収益性の向上には利幅が厚く、勝手を知る国内の生保事業が自然に視野に入るというわけだ。
再編に動く理由はない?
もちろん、生保大手が合併に動く可能性はゼロではない。
「生保は破綻した生保を外資が引き継いだケースを除いて再編の歴史がない。明治生命と安田生命の合併が例外。日生の三井買収は国内首位への返り咲きというわかりやすい理由があった。ほかの生保経営者に話を聞いても、見方は一致している。業績も好調で、生保は契約期間も長くシステムも統合が難しい。再編に動く理由がない」(銀行幹部)
生保が再編に対して歴史も経験も合理的理由もない一方、損保には国内損保事業の収益が厳しいなど、好調な生保事業の市場シェアを拡大する伸びしろは大きい。海外で損保事業の買収に乗り出せば全体の収益性は変わらないかもしれないが、縮む国内事業の雇用の受け皿という別の問題も浮上する。果たして山は動くのか。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
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