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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

遺伝子解析、本格普及始まる 個々人の病気予測やダイエット・美容にも効果的

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

「これまでは、医学や生命科学の基礎的な研究にフリューダイムの機器が使われてきました。これからは、臨床医学などの分野などにまでシングル・セル解析が使われるように狙っています」(同)

 確かに、マーケットを大きく拡大する必要があるだろう。マーケット拡大の可能性がある分野としては、初めに掲げた予防医学、化粧品などもあるはずだ。

競合の必要性

 私はしかし、同社のマーケットが拡大するために必要なのは、実は競合の出現なのではないかと考える。フリューダイムは当該分野で24年もの長きにわたって独創的な地位を保ってきた。「直接の競合は今やいない」(ウォーシントンCEO)というのは、実はマーケットを切り開いてきた「イノベーター」(革新者)にとっては不幸なことなのだ。「フォロワー」が出現して当該製品の価格を下げ、見込み顧客層に複数の企業が働きかけることにより、そのマーケットは真の成長期に入る。マーケットが成長期に入れば、最大の便益を得るのは先行していたイノベーターとなる、というのがマーケティングのセオリーだ。

 フリューダイムの機器やシステムは数々の特許に守られているという。しかし、マーケット拡大の可能性が大きいとなれば、どこからか競合は必ず現れ先行者の特許をくぐり抜ける。同社は15年度、第2四半期まで成長が鈍化するとみられている。そして一方で大型製品がリリースされた。今年、来年と同社が第2の成長期に入れるか、興味が持たれるステージとなってきた。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)

※ 本連載記事が『間違いだらけのビジネス戦略』(クロスメディア・パブリッシング/山田修)として、11月13日に発売されます。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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