男女同数や女性登用進む職場、なぜ社員全体の満足度が低下?男性社員予備軍の女性達
「女性が輝く社会」「一億総活躍社会」の実現が、政府のスローガンとして叫ばれている。女性や外国人の雇用・登用を促進するだけでなく、高齢者を雇用することも、職場の多様性の範疇に入れることができるはずだ。また、中途採用社員は「傍流」的な扱いを受けやすい日本企業において、多様性の浸透はそうした風潮の解消を促すだろう。
今回は性の違いによる多様性に話をしぼり、企業が多様性を進めることで生産性が上がるかどうかを考えてみたい。
日本人の、特にホワイトカラーの生産性の低さについては常に指摘され、「耳タコ」の感がある。とはいえ、基本となる事実を明確にしておくため、よく紹介されるOECDの調査結果を紹介する。
2013年度のOECD34カ国調査によると、1人当たりの労働生産性では、日本は22位で7万3270ドル(758万円)。1位はルクセンブルクで12万7930ドル、米国が3位11万5613ドル、ドイツが15位で8万6385ドルとなっている。これを時間当たりの労働生産性でみると、日本は20位で42.3ドル(4272円)、1位のノルウェーは87.0ドル、4位の米国は65.7ドル、9位のドイツは60.2ドルとなっている。
また、12年のOECD調査に基づく平均年間労働時間ランキングをみると、加盟国の平均は1765時間で、20位の日本は1745時間。1位のオランダは1381時間で、23位の米国は1790時間となっている。面白いのは、ドイツに「怠け者」よばわりされたギリシャが2000時間以上働いている。ドイツの平均労働時間は1400時間だが、時間当たりの生産性はギリシャより70%高い。
ギリシャ人は怠け者だと非難されたというニュースが流れた後で、「私が観察した限りでは、ギリシャ人はよく働いている」という同国滞在経験者の反論がよくみられた。だが、ここではっきりしたことは、ドイツがいう「怠け者」の定義は、労働時間ではなく生産性だということだ。
ドイツ人の定義だと、日本人と韓国人(年間労働時間はギリシャより長く、OECD加盟国で1位となっている)も、怠け者の部類に入るのかもしれない。
経済学者ケインズは1930年に書いたエッセイ『孫のための経済の可能性』において、2030年までには、週15時間以上働く必要はなくなっているだろうと書いている。ということは、年間1人当たり780時間ということなるから、1位のオランダですら達成不可能な数字。ケインズの予測は当たらなかったわけだ。