男女同数や女性登用進む職場、なぜ社員全体の満足度が低下?男性社員予備軍の女性達
さらに労働時間ランキングをみる限り、米国人はけっこうな仕事人間で、日本人より年間45時間多く働いている。米スタンフォード大学の経済学者が14年に発表した研究によると、1週間の労働時間が50時間を超すと生産性が急激に低下し、55時間を超すと崖から落ちるように落下し、70時間働いている従業員は、50時間働いていたときと同じくらいしか生産していないことが明らかになっている。
優秀でなくて元気のない男性社員
日本人の生産性が悪い原因は、長く働くことが美徳とされる文化において、自分の仕事が終わっても上司や先輩を残して先に退社はできないという風潮が強いためである。だから、ダラダラと長時間働くことになる。また、家族よりも仕事を優先する価値観にあるともいわれる。こういった企業文化や価値観は、高度成長時代の特に製造業においてつくられたものだろう。製造業においては長時間働くことが、即、生産量につながる傾向が高い。だが、ホワイトカラーの場合は違う。長く働いたから革新的アイデアが生まれるわけでもない。
リクルートワークス研究所の12年度調査によると、日本の一般労働者の年間平均労働時間は2030時間で、OECDの調査結果よりも多くなっている。そのなかでもホワイトカラーの労働時間は2238時間。これを男女別に分けると、男性は2300時間、女性は2094時間となっている。
この10年くらい、女性のほうが男性より元気がよく積極的だと評価する企業経営者が多い。社内結婚が多いというある企業の社長が、「イクメン大いに賛成。女性のほうが優秀だから、夫が家でイクメンして、奥さんのほうには早く職場に戻ってきてほしい」とコメントしていた。
「優秀でなくて元気のない男性社員」が多いとしたら、それは高度成長時代の製造業で構築された「男社会」の働き方が残っているからだ。日本の有給休暇日数の20日は他国に比べてそれほど少ないというわけではない。たしかに世界平均の25日よりは少ないし、スペインやフランスの30日とは大きな差がある。だが、米国の19日よりは多い。問題は有給休暇の消化率が低いことだ。有給休暇をとるのを躊躇させる企業文化がある。
オンライン旅行業者エクスペディアの調査によると、「有給休暇をとるとき罪悪感を感じるか?」という質問に対しては、日本人の26%が「はい」と答えている。これは、調査対象25カ国の中で1位だ。