男女同数や女性登用進む職場、なぜ社員全体の満足度が低下?男性社員予備軍の女性達
男性は、「男は世帯主で働いて家族を養う責任がある」という「男の役割」を子供の頃から刷り込まれている。そのうえ、日本社会は雇用の流動性が低いため、会社をクビになったり左遷されては困るという恐怖心が高い。だから、同僚や上司とうまくやっていくこと、つまり同調することに過分に気を使うようになる。
反対に、女性、特に若い女性には、仕事をやめても結婚するという選択肢がある。親と同居していれば可処分所得も高いので、旅行、観劇、趣味、外食など、好奇心に応じてさまざまな経験をする自由度も心の余裕もある。豊富で新鮮な体験をすれば、いろいろなアイデアも生まれてくる。
男性社員予備軍の女性
「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」といった男女の伝統的役割に関する刷り込みは、時代が変わっても、自分が思っている以上に心に頑固に残存している。
例えば最近、マンション施工データ改ざんで旭化成社長が涙を流して謝罪した場面がテレビで放送された。「男が泣くなんて、よほどのことだよなあ」と少し同情というか憐憫の情を抱く人もいるだろう。あれが女性社長だったら、「いいよなあ、女は。泣けば許されると思ってるんだろう」と非難めいた目で見るのは男性だけではない。「女は泣けばいいと言われるんだから、泣かないでよ」と働いている女性も思うことだろう。昔から存在する「男女の役割」に、男性も女性も束縛されているのだ。
長時間労働をして自分の生活の大半を職場で過ごす男性社員には、精神的余裕もないし、自分の会社以外の人たちと付き合う時間の余裕もない。よって、「井の中の蛙」になりやすい。男性社員が元気もなくアイデアも浮かばないのは当然だろう。
だからといって、いくら多様化を進めても、雇用された女性が男性と同じような働き方をするようになれば、結局「元気で積極的で優秀な女性社員」が「元気なくアイデアも浮かばない」男性社員予備軍になるだけだ。
エンゲージメント
日本企業の社員のモチベーション、仕事へのやる気が他国に比べて低いという調査結果がある。組織・人事コンサルティング会社のタワーズワトソンは、社員の会社への自発的貢献意欲を「エンゲージメント」と呼んでいる。14年の世界調査によると、日本企業でエンゲージメントレベルが高い社員は全体の21%(世界平均は40%、米国39%)、ある程度高い社員は11%(世界平均19%、米国27%)、低い社員は23%(世界平均は19%、米国14%)、非常に低い社員は45%(世界平均24%、米国20%)だった。