ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 創業115年名門企業に社長解任要求  > 2ページ目
NEW

創業115年の名門企業に社長解任要求…“令和の村上ファンド”の正体

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

 決議取消しの訴えに対して、乾汽船は「適法に行われたものであると確信しており、当社の考えを主張していく所存です」と説明。

 臨時株主総会では、(1)取締役報酬の引き下げ、(2)剰余金の配当、(3)乾康之代表取締役の解任、(4)自己株式取得の件、が議案として挙げられている。

投資ファンドがアクティビストに豹変

 ところでアルファレオHDとは、どのような投資ファンドなのか。同社の大量保有報告書では渡邊章行氏が代表者となっているが、同社の商業登記簿によると、「マキス」が現在の代表社員となっている。

 マキスという会社を調べてみると、通信機器のバッファローや流水麺で有名なシマダヤなどの持ち株会社となっているメルコホールディングス(HD)の筆頭株主で、創業者一族が経営する資産管理会社であることが判明した。

「渡邊氏は旧メルコの広報室長だった。メルコ創業者の牧誠さんの腹心だったようです」(事情通)

 さらに商業登記簿を見てみると、アルファレオHDの設立当時は代表社員(株式会社の代表取締役)にメルコHD社長の牧寛之氏の名前が記されている。

 牧寛之氏は京都大学経済学部を2003年に卒業後、メルコHDの資産運用会社、メルコ・アセット・マネジメント・Ltd(MAML、本社アイルランド)の代表取締役に就任。07年にはシンガポールに拠点を移し、メルコ・アセット・マネジメントPte. Ltd(MAMP、のちに社名をMAM Pte. Ltdに変更)の代表取締役に就任した。その後は11年にメルコHDの取締役に就任、14年に社長に就任、18年5月にはバッファローの社長に就任している。

「社長になってからも実権は、父親でメルコHDの創業者、牧誠氏が握っていた。ところが18年4月に69歳の若さで他界した。そこから大きく変わってきたのではないでしょうか」(事情通)

 これまで純投資のスタンスを維持してきた投資ファンドが、アクティビストに豹変したという。アルファレオHDは18年6月の乾汽船の総会で自社株買いの株主提案を行い、さらに今年2月に全株式を取得したアルファレオHDは、帳簿の閲覧・謄写請求を行うなど存在感をアピール。6月の総会については会社側に対して敵対的な姿勢を明確に示すために、決議取り消しの訴えを行った。そして11月4日の臨時株主総会を要請、社長解任などを求めている。

 一体その狙いはどこにあるのか。11月4日の臨時株主総会でそれが明らかになるかもしれない。

(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

創業115年の名門企業に社長解任要求…“令和の村上ファンド”の正体のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!