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地域路線向けの小型ジェット旅客機(100席未満)は今後20年間で5000機が必要になると、三菱航空機は予想している。小型ジェットはブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアが勢力を二分している。14年の実績はエンブラエルの受注機数143機、納入機数92機。対するボンバルディアは受注機数108機、納入機数59機だ。ここにロシアの戦闘機メーカー、スホーイが新規参入し、中国のCOMAC(中国商用飛機)も小型旅客機の開発を進めている。
MRJは、これら先行する各社を追う立場だ。回転効率を上げた最新鋭の米プラット&ホイットニー社製のエンジンを採用することで、競合機に比べて燃費性能が20%以上向上した。排気ガスや騒音も極力抑えた。経済性の高さを武器に、安い運賃を提供できるところがセールスポイントだった。ところが、ブラジルのエンブラエルもプラット&ホイットニーのエンジンを採用することを決め、MRJに優位性がなくなった。
MRJのウイークポイントは、実績ゼロという点だ。今年6月のパリ航空ショーでは1機も受注できなかった。もし、ANAへの納入が間に合わなければ、新規受注は絶望的だ。それだけではない。すでに購入の意向を示しているエアラインから、キャンセルを受けることにもなりかねない。
初号機納入までの1年半が、MRJが“離陸”できるかどうかの正念場になる。
(文=編集部)
【補足】
中国商用飛機(COMAC)が国産初の小型ジェット旅客機として開発してきた「ARJ21」が11月29日、初めて顧客に引き渡された。中国国営の新華社通信が伝えた。全席をエコノミークラス仕様にすると90席となり、MRJ(72人乗りと92人乗りの2つのタイプ)と完全に競合する。ARJ21は08年に初飛行を終えていた。その後、テスト飛行などで手間取り、商用化が遅れていた。1号機は中国四川省の格安航空会社(LCC)、成都航空へ納入した。ARJ21は国内のLCCを中心に、今後30機程度の引き渡しを予定している。MRJはコスト面でARJ21に対抗できるのか。ARJ21が海外のLCCから受注が決まれば「三菱重工業・三菱航空機にとって脅威になるかもしれない」(東南アジアのLCC大手の首脳)。
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