住宅が売れない…持ち家購入は割に合わない?賃貸シフト鮮明の原因と「売る方法」
もはや利回りを超える効用がないと家は買わない
デモグラフィック(人口統計学的属性)の変化とは別に、本質にあるのは、住宅に利回りを超える効用がないということだ。住宅を投資対象としてみると、住宅が金融資産の利回りよりも低いことが挙げられる。
昔から資産三分法といわれるものに、貯金、株式などの金融資産、土地・住宅などの実物資産がある。現在は銀行にお金を預けていても金利は0%であるため、多くのマネーが利回りのいい金融資産に流れている。残念ながら、土地・住宅の利回りは金融資産を下回るのが現状だ。住宅を投資対象として考えると、投資対象としての魅力は金融資産以下なのである。同じ資産があるなら、金融商品に投資したほうが得。住宅に「利回りを超える効用」を持つ人しか戸建住宅を買わない、ということである。
こんな時代に、家を売る方法はあるのだろうか。
鍵は、ニーズの高度化への対応である。JMR生活総合研究所の調査によると、住まいへの期待は、「家」という範囲を超えて拡大している。
3つの潜在ニーズがある。
1つ目は、「地柄重視」志向である。「近隣住民同士の人間関係が良い」「土地柄が良い」「住宅周辺の騒音が気にならない」などを重視する意識である。田園調布、二子玉川、巣鴨など魅力的な街は数多くある。街のブランド、人間関係を重視する意識や、3世帯ファミリー層の意識、好きな街、人間関係が良い街だからこそ、世代が変わっても住み続けられる住まいかたを志向する意識である。
2つ目は、「地元重視」志向である。「自分や同居人の親と共に住む」「自分や同居人の親元の近くに住む」「生まれ育ったところで暮らす」などを重視する意識である。具体的には、生まれ育った地元で旧知の友人知人と共に、仲良く暮らしていきたい意識といえる。これは男女とも20代に典型的だ。無理して大都市で孤独にひとり暮らしをするよりも、生まれ育った地元で、友人知人と仲良く暮らしていける住まいかたを求めている。
3つ目は、「利便重視」志向である。「近くに商業施設がある」「病院や介護施設が近い」「交通の便が良い」などを重視する意識である。特に高齢層の女性で買い物、通院、介護などに不便な地域よりも、アクセスが便利な大都市で利便性の高い住まいかたに魅力を感じている。
ものとして家を売る時代の終わり~プレハブメーカーからタウンメーカーへ
ものとして家を売ることは、もはや限界である。これからのプレハブメーカーは、街づくりや人間関係づくり、地元での豊かな暮らし、利便性のある暮らしなど、家族、友人、魅力的な商業施設が集まるプラットフォーム(住まいの土台)そのもの、タウンづくりをしていく必要があるのではないか。
(文=合田英了/JMR生活総合研究所ビジネス・ディベロップメント・マネジャー)