宿泊費を二重に払わせ、返金要求をたらい回し
大手ホテルチェーンT、相次ぐ不祥事と苦情拒絶の実態
●利用客の苦情を無視するという怠慢
ここで提起された問題は2つある。まず決済と処理のタイムラグによって被る利用者の不利益だ。システムとして二重払いの負担を強いているホテル側の態度は、どう考えてもおかしい。考えようでは故意の悪用も不可能ではないだろう。次に、宿泊客が事実をつかんで抗議しても、一向に対応しないホテルスタッフ、および担当部署の怠慢だ。ホテルがサービス業であることを、一体どれだけの従業員が自覚しているのか疑問といわねばなるまい。
Tホテルの創業者兼前社長には、かつて数々の不祥事で火の粉を浴びながら放った、「時速60キロのところを、68キロくらいのスピード違反ならかまわないと思ってやっちゃった」という名言がある。
「この程度なら許されるだろう」という消費者軽視の態度は、問題視されてもおかしくない。
(文=岩崎寿次/ビジネスコラムニスト)