では、秀逸なローカルCMを集めたサイト「ぐろ~かるCM研究所」での、ランキングポイントの高いパチンコホールのCMを見てみましょう。現地に行かないとなかなか接する機会のないCMですので、是非とも「動画」で「音声もオン」にしてご覧ください。
(1)静岡県/コンコルド/コンコルゲン夫婦
仲睦まじい新婚生活を経て、喧嘩や仲直りといった夫婦の日常ドラマが描かれるなか、唐突に「コンコルゲン夫婦」という言葉が入ってくる。しかし、それがいったいなんなのかは一切説明されません。そもそもなんのCMかも一見しただけではわかりません。しかし、この不思議な世界観が静岡の人には、暗号のように心の底まで入り込んでいくようです。
(2)鹿児島県/ワンダーランド/タイラグループ
「九州の笑顔に、挑む。」そんな壮大なコンセプトで展開するCM。この「鹿児島に、挑む」篇では、徹底的に鹿児島弁で攻め込まれます。ご当地名物「しろくま」「きびなご」とローカル色が満載。英国の特撮テレビ番組『サンダーバード』を彷彿とさせるクリエイティブは、コミカルでテンポがよく見飽きない、とてもクオリティの高いCMです。
(3)山形県/ZEST GROUP/マルヰ
可愛らしい女性たちがこちらに向かって語りかけてくるのは、どうやら山形弁。聞きなれない人にとっては頭に「?」が浮かびますが、どうやら「行かないとね」と言っているようです。CMの最後には、そんな彼女たち「ZEST GIRLS」から世の中のお父さんたちへ「大サービス」が待っています。
※地方CMの解説は、「ぐろ~かるCM研究所」より抜粋
いかがでしたか? パチンコホールのCMだからこそ成立することが、きっと納得できることと思います。
今回は、テレビCMを使ったエリアマーケティングの話として、パチンコホールの展開を取り上げました。これは、地域性の高い「量販店チェーン」や「百貨店」、「アミューズメント施設」などにも当てはまります。
そういった意味では、企業側も「エリアを考えたテレビCMの上手な使い方」を今一度、考えて効率を再検証してもよいかと思います。
そして視聴者の皆さんは、「このCMは、誰を対象にしているのか」だけでなく、今後「どこのエリアをターゲットとしているのか」を考えるのも、いろいろなCMを見るうえで楽しいかもしれません。
(文=鷹野義昭/CM戦略アナリスト・マーケティングディレクター)