常識的に考えれば、餅を冷やせばカチカチになってしまうのが当たり前だ。しかし、雪見だいふくの餅は冷凍庫に入れても凍らず、柔らかい口あたりを保っている。
この、「冷やしても柔らかい餅」は、冷菓業界の関係者いわく「でんぷんと糖の絶妙なバランスによって完成されたもの」であり、「ロッテは、この技術で特許も取得している」という。そして、その特許こそが、他社の類似品の追随を許さず、長年ヒットする要因のひとつになっているという。
ビジネスの世界において「模倣できない技術」は、それだけで強力な武器になる。雪見だいふくがオンリーワンである以上、その人気は揺るがないだろう。消費者は今後も安心して、そのふわふわ感を楽しめるというわけだ。
アイスなのに鮮度が命?「チョコモナカジャンボ」
競争の苛烈なアイス市場において、パリッとした食感が人気を博し、この10年連続でアイスクリーム類の年間単品売上高トップを走り続けるのが、チョコモナカジャンボだ。今でこそトップランカーの同商品だが、実は72年の発売から30年あまりは、今ほどヒットしていなかったという。
商品に劇的な変化が生まれたのは、96年だ。それまで、アイスの中央にあった「チョコソース」をパリパリの「板チョコ」に変え、モナカのブロックも12山から18山に増加した。さらに、名前も「チョコモナカデラックス」からチョコモナカジャンボに変えたことで、大きな躍進を遂げたのだ。
しかも、チョコモナカジャンボは、今も各材料の改良を続けているという。前出のジャーナリストは、「それらはひとえに『究極のパリパリ感を出すため』です」と話す。
「普通、アイスには賞味期限がありません。そのため、小売店ではアイスの発注は1カ月単位で行うのが常です。しかし、チョコモナカジャンボの場合、販売ケース内に長くとどまっていると、独特のパリパリ食感が損なわれてしまうため、毎日発注しているのです」(同)
本来は月1回の受注業務を毎日行えば、それだけ余計なコストがかかる。しかし、チョコモナカジャンボは「パリパリの鮮度」を保つために、あえてそのコストをかけているのだ。10年連続でトップを走り続けてきた背景には、そういった地道な努力があるといえる。