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神奈川県データ流出のブロードリンクの闇…防衛省や最高裁判所もデータ消去委託か

文=編集部
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中古パソコン販売からデータ消去請負に転進

 ブロードリンクとはどんな会社なのか。榊彰一社長は、たびたびメディアに登場して、自分が歩んできた半生を得々と披露している。1971年、大阪府生まれ。90年、神戸大学農学部入学後、バイオテクノロジーを学ぶがどうしても興味がわかず、進路を変更。94年、卒業後、朝日生命保険に就職し、保険の営業マンになった。商売人の家に生まれ育ったので、自分も商売しようとアンテナを巡らせた。IT業界は変化が激しいが、変化が激しいほどビジネスチャンスがあると考えた。時はネットバブルの時代だった。

 2000年3月、ホームページ制作会社イーリンクシステムズ(現ブロードリンク)を立ち上げた。村上崇氏(現副社長)と大阪のワンルームマンションで2人きりでの起業だった。中小企業からホームページ制作を請け負うには、パソコンを買ってもらわなければならない。当時は、リース会社の与信が厳しく、中小企業向けの審査が下りない。そこで、自分が中古パソコンを買い取って、販売することを思い立った。

 目をつけたのは、スーパーでの中古パソコンの催事販売。これが当たった。保険営業で培った営業力で、スーパーや百貨店でのパソコンの催事販売に漕ぎつけた。全国規模で催事販売を行える体制を整えた結果、2007年には経済誌で急成長企業として取り上げられるほどになった。しかし、変化は激しい。リーマンショックがあり、さらに新品パソコンの価格が下がり、中古パソコンの価格が5分の1に下がった。中古パソコンを大量に仕入れられるところとして、リース会社に目をつけた。大手リース会社に直談判したところ、「リースから戻ってきたパソコンのデータを消去する」ことを条件に話がまとまった。

 当初は、リース会社と契約するために用意したデータ消去サービスだったが、これが契機となり、他の企業から消去の委託が舞い込むようになった。今では、事業者向けパソコン、タブレット、スマホ、サーバーなど情報機器のデータ消去請負が本業になった。

朝日生命との深い関係

 ブロードリンクのホームページによると、朝日生命保険が大株主で会長も派遣し、榊氏も朝日生命の出身者。朝日生命の社内ベンチャーという性格が濃い。

【ブロードリンクの主要役員】

取締役会長      殿井正純(元朝日生命保険専務)

代表取締役社長    榊彰一(元朝日生命保険社員、現朝日生命保険名誉総代)

顧問         井上幸彦(元警視総監)

顧問         堀 龍兒(元日商岩井<現双日>専務取締役)

 2018年12月期の連結売上高は60億1000万円に上り、主要取引先には、東京証券取引所、日本郵政グループ各社、最高裁判所、防衛省、官公庁、地方自治体をはじめ、有名大企業が名を連ねる。ブロードリンクのずさんな管理体制が明らかになり、安心してデータ消去を任せられないとして契約を打ち切る動きが出てきた。防衛庁はブロードリンクを9カ月の指名停止にした。データ消去という鉱脈を見つけたが、創業以来の大ピンチに見舞われた。

(文=編集部)

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