このような結果になりました。大きくとらえれば、大方の予想通りといったところですが、それにしても数値化したうえで違いを示されると、なるほどと妙に納得します。筆者は、「ここまで大きな差があるのか」と大変驚いた次第です。その後、調査は大手総合衣料品店などでも行われました。総合衣料品店の場合、たとえば主婦が家族のために購入することもあり、そういう場合は調査対象から外すなど、かなりの苦労があったようですが、おおむね大学内コンビニと同じような結果を得ています。
また、調査においてチェック項目としなかったため数値化はできてはいませんが、男性の場合は「最初に見た商品を買うケースが半数を超えている」「ひとりでの来店が目立つ」「買い物が終わると足早に立ち去る」といったケースが多かったようです。一方、女性の場合は、「値札をしっかりと見る」「同伴者に意見を求める」「会計後も店内を見て回る」といった行動が目立ったようです。
なぜ男女で購買行動に差が出るのか
「なぜ男女で購買行動に差が出るのか」――これはいまだ彼らの頭を悩ませている問題ですが、たとえば男性はリスクを過小視し、女性は過大視する傾向が強いといった研究もあるようです。そうなると、また新たに「なぜリスクに対する差が生まれるのか」「身体的な相違から生じるのか」「従来から続く社会における役割の相違からか」といった疑問が生じ、興味は尽きません。
購買行動に差があることはわかりましたが、実際、このような差をどう販売に生かせばよいのでしょうか。
たとえば、女性客に対してはリスクを和らげることができるように、店内のPOPで製品の特徴や他社製品との比較を詳細に記述するといったことが、販売対策として重要になるかもしれません。それによって、間違った、あるいは後悔する商品選択とならないようにすることができます。また男性客に対しては、その特性に従い、すっきりとして商品がわかりやすい売り場がマッチするでしょうし、逆に特性に抗う売り場づくりをしても他店との差別化につながる可能性もあり、興味深いところです。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)