アニメファンから総スカンの「MOON RIBAR」シリーズ
そんななか、昨年10月に放送が始まったソフトバンクの新CMが、名作アニメ主人公のその後を実写化した「MOON RIBAR」シリーズだった。そもそも、同CMは「セーラームーン」「アトム」「ちびまる子」「矢吹丈」といった往年の人気キャラクターを小泉のほか、堺雅人、広瀬すずなどが演じるということで、放送前から話題になっていた。
好感度の高い人気芸能人を複数起用すれば契約料は巨額になり、アニメの人気キャラの使用許諾やロイヤルティーにもお金がかかる。しかも同シリーズでは、CMプランナーを「白戸家」シリーズを手がけてきた澤本嘉光氏ではなく、岡野草平氏に変更している。
ソフトバンクが同シリーズにかける意気込みが伝わるようだが、なぜ「岡山編」以上にバッシングを受ける事態になってしまったのだろうか。リサーチすると、アニメ好きの視聴者からは以下のような声が聞こえてきた。
「元セーラームーンなどを名乗っているけれど、どれも原作アニメを知らずにつくっているとしか思えない」
「セーラームーンのムーンスティックが伸びて自撮り棒になった時は呆然としました。本来、ムーンスティックは伸びないですから」
「ゴルゴ13が政治家など、キャラ設定が意味不明すぎます。単純にキャラの名前をお金で買ったんだな、という感じで悪夢です」
また、一般の視聴者からも「正直、全然面白くない」「何をしたいのかがわからなくて不快」「料金プランやサービスの説明がまったくない」などの声が上がっている。
豪華な出演者をそろえ、万全の体制で仕掛けたはずの「MOON RIBAR」シリーズだが、むしろユーザーのソフトバンク離れを加速させる結果となってしまったようだ。
現在、各企業などによるCMは年間7000本以上が公開され、熾烈な争いが繰り広げられている。しかし、近年は奇をてらいすぎた結果、なんの宣伝をしていたのかわからないようなものが増えているようにも感じる。本来、CMとは15~30秒間で商品やサービスの魅力を伝えるのが役割のはずだ。話題性だけでなく、企業の優良な商品やサービスを伝えるCMが増えてほしいものだ。
(文=谷口京子/清談社)