昨年来くすぶり続けてきた、200億円超の巨額資金が泡と消えたレセプト債ファンドをめぐる疑惑が新たな局面を迎えた。
1月29日、関係先のアーツ証券(東京都中央区)は関東財務局から金融商品取引業者としての登録取り消し処分を受けた。週が明けた2月1日、営業継続がままならなくなった同社はそのまま東京地裁に駆け込み、あえなく破産した。負債額は約59億円とされる。
アーツ証券に対してはかねてから証券取引等監視委員会が検査に入っていたが、その過程で重大な問題が明らかになっていた。同社は遅くとも2013年10月頃までに問題のファンド群が資金流用によって大幅に毀損していたことを認識していたにもかかわらず、その後も投資家に対してレセプト債を販売し続けていたのである。
227億円もの資金集める
そもそも今回の問題が発覚したのは、昨年11月のことだ。レセプト債ファンドを組成・運用していたオプティファクター(実質本社・東京都品川区)と関連会社7社が破産、ファンドのずさんな実態が露見したのである。
オプティファクターは00年9月に児泉収・前社長(13年3月に死亡)が設立した経営コンサルティング会社。それが04年3月、英領ヴァージン諸島に受け皿法人オプティ・メディックスを設立してファンド運用に乗り出した。病院から診療報酬債権(レセプト債)を買い取り、それを私募債形式に小口化して投資家に販売するというスキームだった。その後も05年7月に国内でメディカル・リレーションズを設立、さらに10年12月にはやはり英領ヴァージン諸島にメディカル・トレンドを設立し、同様のスキームによる資金集めをさらに広げた。これら3つのファンドが集めた資金は227億円にも上る。
水面下で長年続いたファンドのでたらめぶりに終止符を打ったのは、やはり当局による検査だった。昨年10月29日に証券監視委が検査に入るや、もはやこれまでと諦めたのか、早くも翌日、オプティファクターは前述した3ファンドの新規募集を停止、翌月13日までに関連会社も含め次々と破産手続きに入ったのである。後に残されたのは投資家に対する膨大な負債と、資金流出を物語る価値の定かでない雑多な資産だけだった。
当局の調査によれば、オプティファクター関連の顧客数は総計2500近く(重複を考慮しない数字)。そのなかにはジャスダック上場の商品先物会社フジトミも含まれる。同社は1億円の損失を被った。