オプティファクターが組成・運用した金融商品は、アーツ証券や地方の中小証券など計7社を通じて販売されていた。そのなかでも当初から注目を集めていたのがアーツ証券だった。同社はもともと東証2部に上場するインタートレードの子会社だったが、第1号ファンドの販売を担当したのを機にオプティファクターと急接近、09年頃には出資も受け入れ、さらに12年にはグループ会社としてがっちり組み込まれた。そうした密接な関係を考えれば、今回、一種の共謀関係が明らかになったのは当然すぎる結果だった。
他方、アーツ証券はレセプト債のほか、「中小企業資金繰支援債券」なる金融商品や、米国の不動産で運用するという社債も販売していた。そちらで集めた資金も約55億円に上る。今後、焦げつく恐れは小さくないだろう。
資金の行方
さて、最大の問題は、オプティファクターが投資家から集めた資金は、一体全体どこに消えてしまったのか、という点である。
オプティファクターの破産申立書によれば、同社はグループ会社間で複雑な資金融通を繰り返していたようだ。前述したレセプト債の3ファンドは肝心要のレセプトを購入するかわりに社債引き受けなどの名目で約60億円をオプティファクターに融通していた。逆にオプティファクターは仮払金名目で10億円近くを3ファンドに戻している。さらに英領ヴァージン諸島にはクオリティ・クラスやスウィフト・アロウなる関連法人も次々と設立、それらとの間でも数億円規模で資金のやりとりを行っていたようだ。
そうしたたこ足配当まがいの自転車操業で投資家への利払いを続けた一方、ずさんな投融資などによってグループ外に雲散霧消した資金も少なくないとみられる。破産申立書を見ると、シンガポールやベトナムなど海外法人と思われる先に投融資が行われていた形跡を認めることができる。ただし、それらの実態はほとんどわかっていない。
オプティファクターがいかに怪しげな人脈や金脈に絡め取られていたかを窺い知ることができる手掛かりもある。ブルーシールズパートナーズという都内の投資関連会社との間で起きた融資トラブルがそれだ。
11年1月、オプティファクターはアーツ証券の仲介でブルーシールズパートナーズに2億円を貸し付けた。この融資話はじつに奇妙な代物だった。私募債引き受けの形式をとるものの、返済期日はわずか8日後。しかも表面上は無利息とされたが、裏では密約があった。