余計な出費を抑えるための注意点
退去する旨を伝えたら、今度は引っ越しの準備です。通常は何社か引っ越し業者に見積もりを依頼して、その中から自分の予算や希望日などの条件が合ったところに依頼します。この際、注意点としては遅くとも退去日には借りている部屋には荷物がない状態にしなければなりません。例えば、3月31日を退去日とした場合、3月30日までには引っ越しを終え、31日には荷物がなく、掃除も終わった状態にしなければなりません。荷物が残っていると、違約金が発生する可能性がありますので注意が必要です。
引っ越しを終え、部屋の中が空になったところで、賃貸管理の担当者と現地にて「退去立ち会い」を行います。退去立ち会いでは、部屋の状況を確認し、基本的には入居中に入居者が故意・過失により壊したり、汚したりした個所はないかをチェックします。
このチェックを基にして退去修繕(原状回復)の査定を行います。この査定では、修繕個所を入居者負担とオーナー負担に区分けし、入居者負担となった分は退去後に清算しなければなりません。
この査定も担当者が行うので、やはり印象は大切です。例えば、クロスに汚れがあって、それは入居者が汚したものであれば、その部分はクロスの張り替え査定となります。もし、汚れをきれいに掃除して、クロスの張り替えまで必要がないと判断されれば費用が安くなります。余分なお金を支払わなくてよくなるように、できるだけ丁寧に掃除することをお勧めします。こうした費用の清算は退去後数日~数週間後に行われます。
また、一般的に火災保険に加入していることが多いと思いますが、保険の満了日前に退去する場合、退去日の翌日から保険満了日までの保険料が日割りで戻ってきます。不動産会社によっては、この保険料の清算を忘れていることもあるので、忘れずに確認しましょう。
さらに退去の際、最後に問題となりがちなのがゴミ出しです。「残していっても大丈夫だろう」と軽く考えているのか、処理する時間がなかったのか、不要になった家具などをゴミ置き場に放置していくケースが後を絶ちません。特に布団や家電製品など、本来は粗大ゴミとして処分しなければならないゴミが問題となります。こうしたゴミを放置していくと、管理会社から後でゴミ処理費用を請求されます。
しかも、その処理費用は産業廃棄物として処分するため、自分で自治体に連絡して粗大ゴミとして処分するより高額な費用になります。「引っ越してしまえば関係ない」とばかりに請求を無視すると、連帯保証人に対して請求がいきますので、十分ご注意ください。比較的多く発生している問題なので、「立つ鳥跡を濁さず」ということを肝に銘じ、最後のゴミ出しは特に気をつけましょう。
(文=秋津智幸/不動産コンサルタント)