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テイクアウトやデリバリーの利用者が生活困窮者でないのは明らかである。さらに近頃のコンビニ商品はグルメ化が著しい。注目すべきはファミリーマートで、たとえば「汁なし担々麺」など「花椒入り唐辛子」を別添えし、その風味たるや専門店の風格さえそなえる。「牛挽肉のボロネーゼ」に至っては「トリュフオイル」を別添えし、そこらのイタリア料理店も顔色を失いかねぬクオリティだ。
こういう商品を軽減税率の対象に含める一方、たとえば庶民がカウンターで肩寄せ合って食べる「吉野家」のような牛丼チェーンが軽減税率の対象外とは悪い冗談としか思えない。そして牛丼チェーンの商品をテイクアウトすれば中食なので、軽減税率の対象となる。しかし都心では現実に、けっこうな高給取りの人々が牛丼をテイクアウトし、洒落たオフィスで食べている。どうにも話が逆転しているようにしか思えない。
さらに生鮮食料品を一律に軽減税率の対象にするというのも、いかがなものか。経済的に窮している家庭であれば、おのずと共働きにもなるであろうし、そうすれば時間節約のためにスーパーの総菜や廉価な外食に頼るケースも少なくあるまい。
売価に応じて税率を決める
では、どうすればよいのか。少々荒っぽい議論だが、内食(生鮮食料品の類)、中食、外食という区分はそれでよいとして、それぞれのカテゴリーにおける売価に応じて、税率を決めればよいのではないか。
政府の説明に従えば、トリュフやフォアグラ、キャビアは軽減税率の対象となるであろうが、こういう商品には通常以上の課税がなされて然るべきであろう。
カテゴリー分類や税率の決め方は素人の手には余るが、そういうことのできる、そしてやりたがる専門家は山ほどいる。国の仕事の第一とはまず、税の公平とその正しい使い方にあるのだから、ここで議論を惜しんではいけない。
(文=横川潤/文教大学准教授、食評論家)
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