ビジネスホテルよりも快適
筆者が利用した3件のエアビーを振り返ると、カギの受け渡しは郵便受けに入っているパターンが1件で、残り2件は指定場所でホストからカギを受け取るパターンだった。郵便受けに入っている場合、エントランスで外国人が部屋のカギを取ろうとして、ロックされた郵便受けを開けるのに時間がかかって怪しまれるといったトラブルが多く、直接渡しが一般的になりつつあるようだ。確かに、右に2回まわして数字を合わせ、さらに左に1回まわすといった複雑な開け方をする郵便受けは、日本人でも慣れていないと手間取る。外国人ならば、なおさらだろう。
営業時間内であれば、いつでもチェックインできるビジネスホテルのほうが便利に感じるが、ビジネスホテルよりも勝るのはその居住性だ。ビジネスホテルは安普請で狭い部屋のうえに上下左右の部屋の音がほぼ聞こえ、外廊下の会話すらも聞こえてくる。一方、エアビー物件はそもそも分譲マンションであることが多い。そのため壁も厚く、近隣の音がほぼ聞こえないのだ。外廊下との間も重いドアがあり、音を遮断できる。東京都内で1万2000円前後であれば、30平米程度のやや広めのワンルームマンションといったところだ。
価格は季節や宿泊日数、宿泊人数によっても変わってくる。おおよそ1人増えるごとに2000円程度加算されるが、総じて複数名で宿泊すれば安くなる。台所も一式利用できるので、自分で料理をすればビジネスホテルと比べて、かなりおトクになるだろう。
最後に注意したいのは、宿泊場所の確認だ。現地に詳しくない限り、駅名などを頼りにかなり広い範囲から選んでしまいがちだ。
たとえば筆者は大阪出張の際に、繁華街ミナミの玄関口である「難波駅」周辺に宿泊しようと考え、「難波駅から徒歩5分」との表示のある物件を選んだ。しかし、それはミナミの最寄り駅である南海電鉄のなんば駅ではなく、「JR難波駅」近くだった。大阪府民や大阪に詳しい人であれば常識なのかもしれないが、南海なんば駅とJR難波駅はかなり離れている。再開発された人気の少ない道を15分ほど歩かなければたどり着かない。確かにJR難波駅からは徒歩5分だったが、ミナミまでは徒歩20分もかかってしまった。
(文=椎名民生)