ホンダジェット開発成功を呼んだ70年前の学術書、FBいいね!営業で売上増…共通点は?
「6次のつながり」という古典法則をフェイスブックで適用してみると
「6次のつながり」という言葉をご存知だろうか。知り合いの知り合いをたどっていくと、わずか6人ほどで全世界の人とつながるというものだ。
「世間は狭い」というが、実際にどのくらい狭いのか、米イェール大学の心理学者スタンレー・ミルグラム教授は67年にスモールワールド実験として知られる実験を行った。知らない人から知らない人へ知人を介してどのくらい手紙が届くかを調べたものだ。
サンプル数が少ないのと米国国内に限定した実験なので、すぐに世界中の人と6人でつながっていると結論づけるのは無理がありそうだが、「世間は狭い」というのはそれほど意外なことではないことを示唆したものである。
この法則が最近ビジネスで応用され始めている。たとえば九州で警備サービスを手がけるプリンシプル創業社長である原田宏人氏もそのひとりだ。同社の「スマートルームセキュリティ」は月額500円からという超低価格が売りだ。ニーズはあるものの知名度がなく当初は売り込みに苦労した。話すら聞いてもらえず門前払いの日々であったという。
そこで原田氏が利用したのが「6次のつながり」だ。ミルグラム教授がスモールワールド実験に使った手段は手紙であった。しかし今ならSNSが使える。フェイスブックで知り合いをたどっていけば、自分とつながっている人が必ず見つかるのではないか。そうしたつながりで紹介してもらえば、少なくとも門前払いされることはないだろう、原田氏はそう考えたのである。名づけて「フェイスブックいいね!営業」だ。その具体的な営業プロセスは次のようになる。
1.営業をかけたいターゲット顧客をフェイスブックで見つける
2.ターゲット顧客の投稿に「いいね!」している人(第1次人脈)の一覧を調べる
3.そこに知り合いがいれば、その知り合いにターゲット顧客を紹介してもらう
4.そこにいなければ、第1次人脈のフェイスブックページに行き、そこで再び「いいね!」している人(第2次人脈)の一覧を調べる
5.このフェイスブック検索を知り合いが出てくるまで繰り返す
本当にこんなやり方で知り合いとつながるのかと思われるが、実際にやってみると、6次どころか、2次人脈、3次人脈で知り合いが見つかったという。何も世界中の人とつながりたいのではなく、九州内でつながりが見つかればよいから「3次のつながり」で見つかったのであろう。
こうして発見したつながりを活用し、2~3人を介してつながっている人々に営業をかけたところ、知っている人からの紹介ということで成約率が格段にあがったという。