国内2位のJFEホールディングスは、16年3月期の売上高を11.2%減の3兆4200億円、純利益は82.1%減の250億円と予想している。
第3位の神戸製鋼所は売上高が3.5%減の1兆8400億円で、最終損益段階で200億円の赤字に転落する。
新日鐵住金の進藤孝生社長は会見で「日新製鋼から『高炉を閉めて合理化したい、競争力ある製品にシフトしたい』との要請があった」と、子会社化に至った背景を説明した。日新製鋼は広島市呉市の呉製鉄所の高炉2基のうち1基を19年度にも休止し、新日鐵住金から中間製品を調達する。
新日鐵住金は16年3月に千葉県の君津製鉄所、19年に北九州・八幡製鐵所小倉地区で、それぞれ高炉を1基ずつ休止する。
公取委の判断は
新日鐵住金の日新製鋼子会社化により、国内の高炉メーカーは新日鐵住金、02年に川崎製鉄とNKKが合併したJFEホールディングス、神戸製鋼所の3社となる。
日新製鋼は山口県周南市にステンレス生産を集約する。新日鐵住金グループの新日鐵住金ステンレスと日新製鋼を合わせると、国内ステンレス鋼のシェアは5割となる。
新日鐵住金が日新製鋼を子会社にするには、公正取引委員会の承認が必要だ。公取委はどう判断するのか。独占禁止法の番人として、これまでも製鉄業界の再編の動きに待ったをかけてきた。
旧新日鐵は、09年に傘下のステンレス事業を日新製鋼と統合する方針を打ち出したが、公取委の反対によって断念せざるを得なかった。公取委は国内シェアが高くなることに難色を示したのだ。
しかし、グローバル化が進み、公取委が国内シェアだけで合併の是非を判断することに無理が出てきた。だからといって、“独禁法の番人”の看板を下ろすわけにはいかない。今回はどう判断するのか。公取委の存在意義が問われることになる。
大再編への布石
日米欧の鉄鋼メーカーは1970年代以降、過剰生産に苦しみリストラと再編を繰り返してきた。06年には旧ミタルが旧アルセロールを買収してアルセロールミタルが誕生。粗鋼生産量で世界一となった。12年に新日鐵と住金が合併した新日鐵住金が第2位だ。
両社を追うのが河北鋼鉄集団、宝鋼集団、江蘇沙鋼集団などの中国勢で、中国政府主導で再編を繰り返してきた。もう一段の統合で、世界最大の鉄鋼メーカーをつくることに意欲満々だ。次の時代の鉄鋼王者は中国企業に取って代わられることは間違いない。