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吉野家「吉呑み」、かえって割高?ファミレスや居酒屋チェーンのほうがコスパ良い?

文=谷口京子/清談社

客全員がちょい飲みを満喫!

 次に向かったのは、吉呑みを提供する新宿四丁目店。吉呑みはアルコール17種類にソフトドリンク2種類、おつまみは27種類と、メニューは「チョイ」の倍以上の豊富さだ。

吉野家「吉呑み」、かえって割高?ファミレスや居酒屋チェーンのほうがコスパ良い?の画像4「吉呑み」のドリンクメニュー
吉野家「吉呑み」、かえって割高?ファミレスや居酒屋チェーンのほうがコスパ良い?の画像5「吉呑み」のフードメニュー

 そこで、チョイでは提供されていない焼酎のお茶割りと「牛すい」を注文する。カウンターを見渡すと、食事のコアタイムが終わっていたためか、客はサラリーマン風の数人しかいない。

 しかし、その全員がビールやチューハイを注文しており、まさに仕事帰りのちょい飲みをしていた。また、時間帯もあると思われるが、滞在時間も30分以上の客が多く、この店は明らかに飲み目的で利用されていた。

 結局、2店舗でチョイと吉呑みを体験し、それぞれビールやチューハイを2杯、つまみ数品を注文し、飲食代は約3200円だった。1軒あたり約1600円の計算だが、コストパフォーマンスの面でも、なかなかのものといえる。

吉野家「吉呑み」、かえって割高?ファミレスや居酒屋チェーンのほうがコスパ良い?の画像6「吉呑み」の「牛すい」(350円)

お得感では吉野家より日高屋に軍配!

 もっとも、ほかの外食チェーンのちょい飲みと比べて、吉呑みのコスパは必ずしも優れているとはいえない。むしろ、コスパだけでいえば、他社のほうがお得感がある。

 例えば、吉呑みでは、生ビールジョッキを1杯350円で提供しているが、日高屋は310円、すかいらーくグループでは2杯目を半額にしている店が多い。また、ビールやチューハイを2杯、つまみ数品で約1600円というのも、一軒め酒場などの激安居酒屋チェーンの平均客単価とほぼ同じである。

 ただし、吉呑みの客層は、ファミレスはもちろん、日高屋とも違うという点にポイントがありそうだ。

 前述したように、日高屋はちょい飲みというマーケットを開拓した先駆者で、メニュー全体に占めるアルコールの割合が15%に及ぶ。しかし、牛丼を食べたい層とラーメンなどの中華料理を食べたい層は別物と考えられており、日高屋は吉野家やマクドナルドの店舗近辺に出店する“コバンザメ商法”を採ることでも有名だ。

 また、ボックス席がメインで家族連れが多いファミレスと吉野家も、同様に客層は違う。

 吉呑みの場合、仕事終わりに牛丼を食べて帰っていた人たちが、そのまま晩酌を楽しんでいるという感じだ。そして、サービス開始以来、吉呑みを展開する店舗が順調に増えているところを見ると、決してお得とはいえないものの、それなりに需要はあるようだ。

 人々のニーズに合わせて変化していく外食業界。しばらくは、ちょい飲みブームが広がっていきそうな気配である。
(文=谷口京子/清談社)

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