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【就職支援】33万円“支払い”就職支援を受ける大企業社員が急増…転職サイトとの違いは?

構成=編集部
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「ゲキサポ!転職 HP」より

 2カ月で費用33万円――。これは人気のマンツーマントレーニングジム「RIZAP」の入会金ではない。ある転職支援サービスの料金だ。大学卒就職者の3人に1人が3年以内に離職するといわれる今、転職を経験した読者も多いかと思うが、転職ナビサイトやエージェントで、求職者側がお金を払うというケースは耳にしたことがない。それは有料職業紹介事業の認可を受けている事業者は、一部を除き、求職者から手数料を取ることを禁止されているからだ。

 料金33万円の転職支援サービス「ゲキサポ!転職」は、求職者に直接的に職業や企業を紹介するわけではない。それにもかかわらず、転職を希望する20代の若者から支持を得ているという。いったいどんなサービスなのか。「ゲキサポ!転職」を展開するポジウィルの金井芽衣社長は、サービス内容を「簡単に言うと、キャリアのプロである弊社の専属トレーナーによる“キャリアのマンツーマン・トレーニング”です」と説明する。

“キャリアに寄り添う”ことで既存の転職メディアと差別化

「週に1回、60分のオンライン面談でユーザーの経歴から自己分析を促し、業界分析をもってどんなキャリアを歩むべきなのかをトレーナーがコーチングします。日本ではキャリアには“職業選択”という意味合いがありますが、海外では広義で“人生そのもの”と捉えられているんです。だから、私たちはユーザーの人生に寄り添って、転職希望者にどんな人生を歩めば幸せに生きられるかを提案させていただいています。面接対策などの直接的なアドバイスもしますが、“キャリアに寄り添う”という意味では、私たちはユーザーの転職をゴールだと思っていません」

 繰り返しになるが、企業クライアントを持たないポジウィルは企業を紹介しない。一般的な就活をしてきた人にとってはピンとこないかもしれないが、わかりやすくいうと“転職を軸とした人生相談”との表現が近いかもしれない。

 昨年7月にサービスをリリースしてから約半年で、同社の売上は10倍以上に伸びている。メインの顧客層は、“漠然と転職を望む、高学歴で大手企業に就職した2~3年目の若手社員”だという。若き悩めるエリートは、なぜこのサービスに引きつけられるのか。それは就職ナビサイトやエージェントにはない強みがあるからだと、金井氏は力説する。

転職ナビサイトに登録すると、すぐに数百通もの求人メールが届きますが、なんとなく現状に悩んでいるような、判断材料を持たない人たちは、どうやって仕事を決めればいいかがわかりません。成果報酬型のエージェントも、ユーザーの転職が決まった段階で支払われるクライアントからの手数料が利益になるので、どこでもいいからユーザーに早く転職先を決めさせようとします。そういった状況下で決めた就職先では、再び短期離職を招いてしまうだけです」(金井氏)

 高学歴で大手企業に就職した経歴のある人の場合、選り好みしなければいくらでも仕事はある。だが、それこそが彼らのキャリア形成を悩ませる種になっているようだ。「ゲキサポ!転職」は、そこに関して適切なアドバイスを送るという点が、既存のサービスにはなかったポイントであり、強みだという。

パーソナルトレーニングが若者を中心に人気

 それにしても、具体的に転職企業を紹介してもらえるわけでもないのに33万円という費用は、決して安くない。2カ月間で受けられる面談は8回。1回当たり4万円強の計算だ。大手企業に勤めていたとしても、若者がおいそれと出せる金額ではないのではないか。

「それだけの価値があると判断していただいているのだと思います。事実、私たちのサービスを使って転職し、年収が150~200万円上がったケースは珍しくありません。若者の消費欲が減退しているとよく言われますが、それは偏見だと思っていて、私の体感では今の20代から30代前半の世代は、自己投資のためにお金を使える人が増えている印象です。

 たとえば、英会話に100万円以上払う人もいれば、美容整形に数百万円使う人もいます。そういう“自分磨き”をするために出し惜しみをしない若者、“コト消費”や一次情報を取りに行くためにコストをかけられる“情報感度が高い人”が多くなっていると感じています。むしろ、40代以降の人のほうが固定観念にとらわれて、自己投資にお金をかけない傾向があるのではないでしょうか。だから、『ゲキサポ!転職』も供給を上回るほど、若い方からのニーズがあるんだと思っています」(同)

 ちなみに、最近では「ゲキサポ!転職」のように比較的高めの料金を支払い、金融教育や新しい稼ぎ方などを専門に教える専属トレーナーと、マンツーマンでトレーニングができるさまざまな分野のパーソナルサービスが増加傾向にあるという。

「今後も若者を中心に、こういったトレーニングサービスはどんどん浸透していくと思います。私たちも今は転職をメインとしたコンテンツで展開していますが、資産運用や家の購入、結婚・離婚など、ライフイベントに関するサポートへサービスを拡充していくのが、向こう5年、10年の目標です」(同)

 現代を生きる一定数の若者は、自らのキャリア、ひいては人生のためにはお金を出し渋らないようだ。“自己啓発”との謳い文句で大金を巻き上げるサービスも少なくないが、人生をより良くするための“自己投資”を惜しむ人は、精神的に若くないのかもしれない。
(構成=編集部)

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