景気や社会の変動や不測の事態が起こることで、会社の経営は日々変化するものだ。だが経営者は、いかなる状況であっても利益を出すことが求められ、それができなければ経営責任を問われる。
特に上場している株式会社においては、社会に与える影響も大きいため、その責任は重い。赤字=悪ではないが、経営を悪化させたと判断される場合には立て直しのために、速やかに経営陣を刷新する必要がある。
イビデン
ICパッケージなどの電子部品メーカー・イビデンは、電子部品市場の低迷を受け、稼働のメドが立たない生産設備の減損損失など100億円を2016年3月期に特別損失として計上する。この結果、16年3月期の純利益は前期比65%減の67億円となり、従来予想を118億円下回る。
パソコンやスマートフォン市場が振るわず、マレーシアとフィリピンの電子部品工場で稼働していない生産設備が出ている。竹中裕紀社長は「17年3月期も厳しい年になる」とした。16年3月期の売上高は横ばいの3183億円、営業利益は20%減の208億円と従来予想をそれぞれ117億円、62億円引き下げた。
イビデンは独フォルクスワーゲンを直接の取引は少なかったが、排ガス不正問題の影響は今後、イビデンが排気系部品を提供しているディーゼル車にも及ぶだろう。そのような予想もあってか、イビデンの株価は2月12日に1223円まで下げた。昨年高値(5月11日、2370円)のほぼ半値だ。
三菱重工業
三菱重工業は16年3月期の業績を下方修正した。連結純利益は前期比18%増となる1300億円を見込んでいたが、一転して18%減の900億円になる。建造中の大型客船の納期が遅れ、新たに221億円の特別損失を計上するためだ。この客船工事に関する累計損失は5年間で1800億円を超える。客船2隻の受注額は1000億円で、すでに受注額の倍近い損失が出ている。三菱重工は、設計変更などで建造が遅れたために想定以上に費用が増えたとしているが、今年に入って船内で不審火が3回連続して起こるなど、トラブルに見舞われ続けている。
三菱重工長崎造船所では、作業者をゲートで一人ひとりチェックしているが、巨大な船に入ってしまえば、すべてのエリアを監視カメラで監視するわけにはいかない。世界中から集まった数千人規模の人が働いており、「これだけ人数が多いと不審火の原因究明は無理」との声もあり、現場の混乱は続いている。