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東京電力エリア、新規参入組の草刈り場化で独占崩壊…東京ガスに契約者「大移動」か

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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「電力については自前の発電所のほかに共同で運営している川崎と扇島は持ち分に応じて利用する。ガス料金とのセット料金で大幅な割引を検討し、20年までには東電エリアの1割獲得を目指す」(東京ガス広報担当者)

 JXホールディングスはガソリンとのセット割引で東電の市場に食い込もうと虎視眈々と狙っている。「家庭用市場には早期に50万件を目指す」(JXエネルギー広報担当者)という。

 昭和シェル石油は扇島の発電所に加え、川崎にあるバイオマス発電所を活用して小売事業に参入。ガソリンや軽油とのセット販売で「5年間で15万件の獲得を狙う」(同社広報部)という。電力自由化で鉄道からも参入する。東急電鉄は15年10月に東急パワーサプライを設立、電力自由化に向けて取り組みを開始した。

「東急電鉄や東急カード、イッツコムなどグループ会社とともにサービスを提供していきます。すでに2月24日時点で2万件の加入があり、16年度中には10万件を目標にしています」(東急パワーサプライ広報担当者)

崩れる不可侵の関係

 ライバルは異業種だけではない。これまで地域独占のなかでお互い不可侵の関係にあった地域電力会社同士も、大きなライバルとなる。

 なかでも中部電力は、虎視眈々と東電管内のマーケットに大きな関心を寄せる。15年7月には国際石油開発帝石(INPEX)と提携、「電力卸販売の共同実施に向けた基本合意書」を締結。中部電力が直接販売する分やグループ企業ダイヤモンドパワーと提携関係にある首都圏の角栄ガス、大東ガス、さらにINPEXと提携している足利ガス、伊勢崎ガス、入間ガスなど9社を取り込み、「東電エリアで10万件の獲得を目指します」(中部電力広報担当者)という。

 このほかKDDIは東電管内だけでなく、沖縄・一部離島などを除く全国46都道府県で「auでんき」として一斉にサービスを展開。関西は関西電力、中国地方は中国電力と提携するという。

「東電管内については個別契約や卸電力取引市場などで電力を調達し、通信料金などとセットでサービスを展開します」(KDDI広報担当者)

 こうした動きに対して東京電力はどのように迎え撃つのか。

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