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新将命「ビジネスの原理原則」

完璧主義という病…入念な議論や稟議、市場調査の間に、中韓台湾企業にすら敗北

文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長
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 アメリカの政治家で事業家だったベンジャミン・フランクリンは「タイム・イズ・マネー(時は金なり)」という言葉を残したが、私は「タイミング・イズ・マネー(タイミングは金なり)」と考えている。

 完璧主義を目指すのはよいが、あまり舵取り変化に時間をかけすぎると流れについていくことができない。経営学には「収穫逓減の法則」があるが、私はビジネスの世界には「思考逓減の法則」があると信じている。

 ある問題について、真剣に考え議論するのは望ましいことである。市場調査や消費者調査を行うのもよい。だが、経営環境がドッグイヤーもどきに急変・激変・大変しているなかでは、我が社のビジネススモデルや戦略、それに伴う経営資源配分も大胆に、そして迅速に変化させなければ欧米企業はおろか、中国韓国、台湾の企業にも負けてしまう。

 スピードという実行の速さの「鬼」にアジリティーという変わり身の早さの「金棒」が加わるとまさに「鬼に金棒」となり、そこには勝ち残る企業が生まれる。

「生き残るのは最も強い者でも、最も賢い者でもない。変化に最も迅速に対応できた者である」

 これは自然科学者チャールズ・ダーウィンの言葉である。もっとも、ダーウィンの書いたものにはそんな言葉はないないという人もいるので、果たして本当に言った言葉かどうか、真偽のほどはわからない。いずれにせよいえることは、大変の時代のなかで、アジリティー(迅速な変わり身)に欠けた会社は、負け犬になるだろうということである。日本企業は「速く」て「早い」会社にならねばならない。
(文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長)

新将命

新将命

株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなど、グローバル・エクセレント・カンパニー6 社で社長職を3 社、副社長職を1 社経験。2003 年から2011 年3 月まで住友商事のアドバイザリー・ボード・メンバーを務める。「経営のプロフェッショナル」として50 年以上にわたり、日本、ヨーロッパ、アメリカの企業の第一線に携わり、今もなお、さまざまな会社のアドバイザーや経営者のメンターを務めながら長年の経験と実績をベースに、講演や企業幹部研修、執筆活動を通じて国内外で「リーダー人財育成」の使命に取り組んでいる。

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