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日清の本音
消費者はわがままであり、あまのじゃくだ。企業にとっての命題は、そんな消費者をいかに味方につけるかだ。素直でない消費者は「本当、いいCMだ」とはなかなか思ってくれない。「こんなCMのどこが良いのだろう。どうせ日清にオベンチャラしたい人が、良かった、好きだと言っているだけなのだろうな」となる可能性がある。
ましてや、自分が嫌いな有名人が褒めていると、それだけでその企業が嫌いになることもある。だからCMは好感度が高い人を使うのだ。「ファンになってくれとは言わないが、せめて嫌いにはならないでくれ」という傾向が、大企業になればなるほど強くなる。日清としては「CMのことなんかどうでもいい。カップヌードル食べておいしかったと言ってくれ」というのが本音だろう。
筆者は事業者向けの講演で、「クレームが多い企業ほど消費者に期待されている証だ。期待しているからこそ何かを伝えたいのであって、期待していない企業には何も言わない。クレームが多いことを喜ばなければいけない」とよく言っている。今回のCMに関しても、日清が注目されているからこそ多くの反響があったのであり、どうでもいい企業には、誰も何も言わない。
大企業は、お客からのどんな声に対しても誠意をもって対応している。その声を聞いてどうするかは、それぞれの企業の判断であり、外部の人間には計り知れないものがある。
日清の本音は、「著名人の皆さん、良識のある皆さんだからこそ、そっと見守っていただけないでしょうか。私たちの大切なお客に向かって機嫌を損ねるようなことは言わないでいただけないでしょうか」ということではないか。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)
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