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鈴木領一(すずりょう)のビジネスの超ヒント!

ダメ企業が細かい「科学的ルール化」で驚異的好業績&離職者激減

文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー

 先に述べたように、作業が細分化され、その結果をフィードバックするためのルールが増えれば増えるほど窮屈になり、社員にストレスがかかっていくのではないかと思うのが普通だろう。しかし、まったく逆であることを副社長は教えてくれた。

「弊社には、普通の会社よりもルールが多いと思います。しかし、それは社員の余計なストレスを減らすためなのです。ルールがあれば、何をやればいいのか、何をしなくてもいいのかがわかります。ストレスは、何をやればいいのかわからないということから生じるのです」

 なるほど、理屈ではわかる。しかし本当にそうなのだろうか。筆者が疑問に思っていると、丸林副社長が採用担当の清水豊和氏を呼び止め、「清水さん、昨日遅刻したでしょう。どう思った?」と質問した。すると驚くべき答えが返ってきた。

ダメ企業が細かい「科学的ルール化」で驚異的好業績&離職者激減の画像5清水豊和氏(採用担当)

「はい。遅刻してスッキリしました」(清水氏)

 一体どういうことだろう、と筆者は清水氏に「なぜスッキリしたのですか?」と質問してみた。すると意外な答えが返ってきた。

「以前勤めていた会社では、遅刻すると叱責されるのでプレッシャーでストレスが多かったのですが、アースコムでは『遅刻したら一日一善』というシンプルなルールがあり、誰も遅刻の理由を聞かないので気が楽です。私は自主的に募金箱に100円入れました。遅刻して朝から嫌な気持ちにならず、気をつけようという気持ちが自然に出てくるようになります」(清水氏)
 
 遅刻したら一日一善、というルールは、遅刻した理由を追及しないという意味と同じなのだ。つまり「どうして遅刻したのだ」「社会人としてどう思っているのだ」などと余計なことに時間を使わないということだ。

 先に副社長が語った「ルールがあれば何をして何をしなくていいかがわかる」という意味は、余計なことを考えたりして悩む無駄を省くということだとわかった。ここが普通の会社とアースコムの違いである。

ルールによって効率を最大化

 ルール至上主義の会社では、ルールをつくることによって、さらに感情的なストレスを生んでいる。ルールを破ったら、その社員を追及し、精神的な負荷をかけている会社が多い。ブラック企業がその典型である。しかし、アースコムが定義するルールは、社員に余計な精神的負荷をかけず、効率を最大化させるものなのだ。そこには、社員を徹底的に大切にする精神がある。

鈴木領一/コンサルタント

鈴木領一/コンサルタント

 思考力研究所所長。行政機関や上場企業の事業アドバイスをはじめ目標達成のためのコーチングも行っている。プレジデント誌などビジネスメディアへの記事寄稿多数。また100の結果を引き寄せる1%アクション(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、主婦から経営者まで幅広い層に支持されロングセラーとなっている。また、出版プロデュースの活動も行い、代表作には小保方晴子氏の『あの日』(講談社刊)がある。

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