スマホ「アプリDL地獄」とグーグル検索の終焉 LINE上ですべて完結する時代突入の予兆
そのぐらいのレベルにあるアプリが、なぜそんなに注目されているのだろうか。
どうやら、注目されているのは会話型ボットとメッセンジャー・アプリの組み合わせであり、この結合が10年に1度の大きな変換(パラダイム・シフト)を意味するというのだ。何が変換するのかというと、コンピュータとユーザーとの接点にあたるインタフェースだ。
コンピュータのユーザー・インタフェースの歴史においては、10年ごとにパラダイム・シフトが起きている。デスクトップPC全盛の時代には、1990年代半ばまではマイクロソフトWindowsが標準OS(基本ソフト)となり、90%以上の市場シェアを誇った。しかし、2000年代半ばにモバイル端末が急速に普及し、モバイル端末のOS市場はアップルのiOSとグーグル のAndroidの寡占状態となった。そして、アプリの時代へと突入した。
ところが、ゲーム好きな日本や韓国を除いて、アプリの黄金時代は10年に終わったといわれている。スマホ用アプリは、あまりに数が増えすぎたため、実際にダウンロードされる数は減る傾向にある。iOS用アプリは150万個、Android用には160万個のアプリが発売されている。だが15年調査では、米国のスマホユーザーが月に10回以上利用するアプリは、平均してわずか3個だった。
日本はAndroidのアプリ収益が世界一であるように、“アプリ大国”といえる。日本のユーザーがスマホゲームに費やす時間は米国の4倍で、アプリストアにおける収益のうち90%がゲームアプリとなっている。また、月に10回以上利用するアプリは9個と、米国より多くなってはいるが、それはゲームを含めたエンターテイメント系アプリの割合が高いからだ(ニールセン14年調査)。
ゲーム以外のコミュニケーションや検索、ソーシャルメディア系アプリに関しては、日本でも利用するアプリの数は減る傾向にある。多くのスマホユーザーは、自分の気に入ったアプリを使うだけで終わっているようだ。
そして、複数のプラットフォーム、たとえばiOS、Android、Windowsで動くアプリを開発して維持するコストに比べると、テキストベースの会話型ボットにかかるコストは低く、つくるのも比較的簡単で開発スピードも速い。
メッセンジャー・アプリの爆発的普及
また、メッセンジャー・アプリが世界的に普及している。たとえば、日本では圧倒的にLINEが使われているが、中国ではWeChat(アクティブユーザー数6億5000万人)、西欧ではWhatsApp(9億人)の利用者が多い。そのため、一般ユーザーはテキストベースの短いコミュニケーションに慣れている。