スマホ「アプリDL地獄」とグーグル検索の終焉 LINE上ですべて完結する時代突入の予兆
このように、16年からはメッセンジャー・アプリ内でボットを使ったテキストベースのインタフェースが中核となり、これが次世代プラットフォームとなると予測されているのだ。
ザッカーバーグ氏も、このような見解を示している。
「つまり、お気に入りのメッセンジャー・アプリ1個だけをダウンロードする。そうすれば、たとえば母の日に花を贈るといったときに、わざわざグーグル検索して通販サイトにアクセスしたり、花の通販会社のアプリをダウンロードする必要はない。いつも使うメッセンジャー・アプリ内の花の通販会社のボットと直接やりとりをすればよい」
フェイスブックは4月12日に、世界で9億人が利用している自社のメッセンジャー・アプリのオープン・プラットフォーム化を発表した。Facebook Messengerのなかで、ボットを簡単につくれる仕組みを無償で提供することにしたのだ。すでに、通販会社や旅行予約など30社以上が契約を結んでいるという。
花の通販サイトの場合、ボットを呼び出すと「花を注文しますか? それとも、顧客サポートと話しますか?」と文章で問いかけてくる。「注文する」を選択すると、花の種類、配達先情報、支払方法を順番に聞いてくるので、テキストベースのやりとりをして、注文完了となる。
グーグル検索してサイトにアクセスしたり、いくつかのアプリをダウンロードするのではなく、ひとつのメッセンジャー・アプリを使い、そのなかでボットと会話するだけで、すべてのタスク(検索から選択、注文、決済サービスを提供している場合は支払いまで)をこなしてもらう。
メッセンジャー・アプリ上でさまざまなサービスを利用できる仕組みで先端を走っているのはLINEやWeChatといったアジア勢だ。16年1月時点で6億5000万人のアクティブユーザーを持つWeChatでは、100万社以上の企業がアカウントを開設している。タクシーやレストランを予約、ネット通販で購買、出前の注文、請求書支払、すべてをWeChatアプリから離れることなくできる。
ただし、アジア勢の企業アカウントすべてがAIを搭載した会話型ボットを採用しているわけではない。タクシーやレストラン予約など、会話内容が決まっていてシナリオを描きやすいものであればAIを採用する必要はない。WeChatにしてもLINEにしても、アプリ内に埋め込まれた各企業のHPが、会話形式に見えるかたちで、あるいは選択肢ボタンをタップするかたちでユーザーとやりとりしているだけという例が多い。WeChatでは、難しい話になったら人間とリアルタイムに会話できるようなシステムも採用されている。