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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

セブン&アイ鈴木前会長を放逐した伊藤邦雄とは何者?社外取締役が大企業に激震呼ぶ時代に

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 当面需要が急増している社外取締役であるが、実際に着任している人材は重複していることも多い。理由は、ガバナンス・コードの導入により「とりあえず需要」が起こったこと、それから1部上場大企業に見られる「実績優先」から、他社での着任実績を優先したことにある。

社外取締役のほうも責任を果たしたい

 しかし、もうひとつの理由は「本当はうるさくない社外取締役を」という企業側の本音がある。私もガバナンス・コードが導入される状況が明らかになった昨年のある時期に、関西の1部上場企業から社外取締役就任の打診を受けた。しかし、その会社の総務担当執行役員との面談で「役員会の案件にできるだけご理解をいただき、ご支援をお願いしたい」などと言われ、結局着任しなかった。独立的な立場にある社外取締役候補なら誰でも、「それならお友達を連れてきなさい」と思うのではないか。

 もうひとつ候補者とすり合わせをしなければならないのが、社外取締役となった場合のスケジュール確保だ。原則、月1回の役員会だけの出席だが、年にすれば12日である。加えて株主総会がある。地方企業の取締役を受ければ、前泊も必要となる。役員会の前の別日に社外取締役だけにブリーフィングを行う企業も出てきた。

 ソフトバンクは社外取締役にファーストリテイリング社長の柳井正氏、日本電産社長の永守重信氏という超大物お二人が社外取締役におり、役員会では実際に丁々発止と孫正義社長に切り込んでいるという。それはソフトバンクにとって幸せなことだが、現役経営者が他社でも取締役として活動することは時間的な制約があるし、何より自社の株主から注文が付けられることにもなりかねない。

 特定の人材が社外役員を何社も掛け持ちするのを防ぐ動きも出てきている。3月の段階で日経平均株価採用の225社のうち71社がなんらかの制限を付けていた(QUICK ESG研究所調べ)。

 社外取締役への需要はこれから急増していくのだが、対応できる現役経営者の数的制限、制度的な制約の増大、時間的な制約などを考えると、これからは「プロ経営者」に続いて「プロ社外取締役」という概念が生まれてくるのではないか。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
山田修の戦略ブログ

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