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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 ロードサイトでなく都市部、つまり都市中心への出店も検討している、ともしていたが繁華街への出店ということになると、従来型の店舗の大きさは確保できない、あるいは異型の床店舗への出店とならざるを得ないだろう。となると、しまむらのお家芸となってきたオペレーション経営の角を矯めて牛を殺すことになる。オペレーション経営の前提となっているのが各店におけるオペレーションの均一化、だからだ。

 そこへいくと、ファストリの実質的創業者である柳井正社長の志は、やはり一目置くべきものがあると私は思う。ユニクロの海外店舗数は928店(16年5月現在)と国内のそれを上回り、大きく伸び続けているし、コントワー・デ・コトニエやプリンセス タム・タムなどのグローバル事業としては1366店舗も世界中に展開している。

 一方、しまむらの海外事業といえば、台湾と中国に進出したとはいえ、その売上寄与率は1%にも達していないとみられる。

 野中社長の興味は、現下好調なオペレーション経営のひたむきな精緻化にあると私には見える。しかし、国内の成長限界に近づいてきたしまむらの場合、それを超える大きな舵取りがなければ、早晩天井に突き当たるだろう。

 14年期、15年期と創業以来の連続赤字に沈んだ後、16年期と17年期は好調の波がやってきた。18年期以後がその波が打ち返すサイクルとならなければ良いのだが。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)

※ 本連載記事が『間違いだらけのビジネス戦略』(クロスメディアパブリッシング/山田修)として発売中です。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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