パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに
「第44回日本の専門店調査」(7月13日発表、日経MJ実施)によると、衣料品の分野で国内売上高1位はユニクロ(運営会社:ファーストリテイリング)、2位はしまむらだった。
しかし、両社は直近の業績では明暗を分けている。ファストリは2015年9月~16年2月期のユニクロ事業が国内外で営業利益計画を下回り、大幅な減益に陥り、4月7日に16年8月期の連結業績予想を下方修正した。それによると世界連結での売上収益は1兆8000億円で据え置くが、営業利益が前回予想から600億円減の1200億円に、最終損益も前回予想から500億円減・前期比46%減の600億円にとどまる見通しだとした。
一方しまむらは、16年2月期の連結業績は、営業利益が前期比8.4%増の399億円と、3年ぶりに営業増益に転じた(売上高は同6.7%増の5460億円)。加えて16年5月21日の今期第1四半期決算では連結売上1404億円(昨年同期比6.7%増)、営業利益120億円(同38.5%増)となり、目下絶好調という様相だ。17年2月期には過去最高となる営業利益462億円(同15.8%増)を見込んでいる。
「安くてダサい」から変身できたか
15年から回復基調となり快進撃を続けているしまむらだが、14年2月期と15年2月期に上場来初めて2期連続減益に落ち込んでいた。その時期を経ての15年からの好調なので、V字回復などともて囃されている。
回復の要因はヒット商品の出現と、オペレーションの見直しにあった。15年の秋冬シーズンに売り出した「裏地あったかパンツ」は、見た目は普通のパンツだが、裏地に起毛素材を使い重ね履きしないでも温かいというのが売りだ。これが、3900円という値付けで100万本以上売れた。通常の「しまむら価格」はパンツ類なら1900円なのだ。
初めは、14年シーズンに2900円で発売しており、15年は3割=1000円値上げした。2900円でも高すぎるという声が社内にあったが、野中正人社長がこれを一蹴。高額の大型ヒット商品になった。
商品の高単価シフトと連動して野中社長は、次のようにコメントしていた。
「高単価の商品も意外と売れる。単価が上がっている分、数量を抑え、商品レイアウトを工夫する。(略)昨年の下期からアイテムを絞り、1アイテム当たりの数を増やし、量を売る商品を増やすことを一部店舗でやってきた。今年3月以降、それを加速して、アイテム数は現在4、5万点あるが、3割削減する。全体の在庫数量は2割削減となる」(1月28日付日刊工業新聞より)
野中社長はしまむらに染み付いていた「安くてダサい」というイメージの払拭に、躍起になってきた。