中国で、日本車が売れに売れている。日産自動車、マツダ、本田技研工業(ホンダ)の各社は、中国市場での6月の販売台数が過去最高を記録した。
そんななか、自動車情報サイト「汽車之家」は、まるで負け惜しみのような記事を配信した。その記事のタイトルは『日本車を買わない人の10の理由』。中国メディアが外資系ブランドをバッシングすることは珍しくないが、そこで報じられた中身を見てみよう。
(1)中国市場を重視していない
(2)ニーズに対する反応が遅い
(3)中国人はクロムメッキが好きだと決めつけている
(4)サプライチェーンが閉鎖的
(5)ケチで奇妙な設備
(6)自分たちの考え方に固執している
(7)信頼性の低下
(8)日系だから
(9)政治リスク(反日暴動の際には日本車が標的となる)
(10)態度が傲慢(中国人社員の発言権が弱い)
(1)、(2)、(7)は、確かに否定できない。ホンダは1999年に現地生産を開始しているが、トヨタ自動車などは北米市場を重視していたため、日系メーカーは全体的に出遅れている。一大イベントである上海国際モーターショーや北京モーターショーでも、日産や三菱自動車は本社のトップが登壇するが、ほかのメーカーは役員か現地法人のトップということが多い。欧米メーカーでも本社トップが来ることが多いので、日系メーカーが消極的と見られても仕方ない。片や、独フォルクスワーゲンの現地生産は、1985年開始と早く、先行者の利を得ることに成功した。排出ガス不正問題をものともせず、トップシェアを維持している。
また、中国では小型SUV(スポーツ用多目的車)が人気だが、日系メーカーは相対的にSUVの車種が少なく、それを主力商品として売り出すことも少ない。タカタのエアバッグ大量リコールや、三菱自動車工業の燃費偽装といった不祥事もあり、日本車への信頼性は低下傾向にある。
日本車を誹謗中傷する自動車メディア
しかし、それ以外は的外れな指摘が目立つ。
(4)のサプライチェーンが閉鎖的という点に関してみてみると、系列を中心に形成されているのは事実だが、問題が発生したら系列であろうとなかろうと、完成車への影響の大きさは変わらない。むしろ系列だけで固めていたほうが、タカタのようにさまざまなメーカーに影響を与えなくて済むはずだ。それに、サプライヤーの発言権が強くてコスト削減が難しいというのはまったく逆で、むしろ自動車メーカーからのコスト削減圧力に苦しんでいるのはサプライヤーのほうである。彼らは「納期が遅れて自動車メーカーの生産ラインを止めようものなら、分単位で補償しなければならない」(日系プレス金型工場総経理)という厳しい環境にある。