2003年、ソフトウェア開発コンサルタント会社の豆蔵(現豆蔵ホールディングス<HD>)の社長に就任。04年11月、東証マザーズへの上場を果した。14年6月から、コンピュータソフトウェア協会会長を務める。
「巨大組織を形成し、ソフト産業の地位を国内で高めて、世界に挑みやすい環境をつくる」が持論。軋轢や批判を恐れずにドラスティックに情況を変えるとして、IT連盟の設立に動き、要の幹事長に就いた。豆蔵HDは現在、東証1部に昇格している。
もうひとりは、専務理事の別所直哉氏。81年に慶應義塾大学法学部卒業後、持田製薬を経て99年にヤフーに入社。法務本部長、執行役員社長室長を歴任。井上雅博前社長時代の生き残り組で、宮坂体制の懐刀ともいえる存在だ。
ヤフーは13年11月、セーファーインターネット協会を設立。会長にヤフー執行役員の別所氏が就いた。インターネット上の情報を監視し、違法・有害と見なしたデータについて日本国内・国外を問わず、インターネットサービスプロバイダやサイト管理者に削除を要請している民間団体だ。
別所氏は警察庁総合セキュリティ対策会議委員などIT関連の政府審議会委員を多数務めている。ITセキュリティ分野の顔である。
産学官一体となったサイバー防衛組織を構築
IT連盟は第1ステップとして、サイバー防衛組織の構築を優先する。年々、巧妙化するサイバー攻撃によって、重要な情報を盗まれる危険が高まっている。サイバーセキュリティ対策は喫緊の課題だ。サイバー攻撃対策の一環として、産学官が一体となったサイバー防衛組織の構築を推進する。
第2ステップは、深刻化しているIT人材不足に対応すべく、次世代を担うIT人材の育成に産学官で取り組む。セキュリティやプログラミング、人工知能の専門家などIT人材の育成を主な目的としている。
政府は13年6月、「世界最先端IT国家創造宣言」を策定、ITを成長戦略の柱に据えた。政府の目標と歩調を合わせ、現在100万人のIT技術者を25年までに200万人に増やす。
楽天の三木谷浩史会長兼社長が代表理事を務める新経済連盟(新経連)にもIT企業が加盟している。宮坂氏は「新経連はより幅広い活動をしているが、われわれはIT関連に絞って活動する」と方針の違いを説明。「協調できる点があれば、一緒にやりたい」と呼び掛けた。
三木谷氏が新経連を設立したとき、ヤフーは参加しなかった。その時のわだかまりが残っている。新経連とIT連盟は、楽天vs.ヤフーのガチンコ対決の、それぞれの“応援団”とみる向きも少なくない。
(文=編集部)