非現実的な脅しがあやしさを助長
匿名性による危険を回避するため、スプリックスが打ち出した方針は、「中高生以外は絶対に登録させない」という強いセキュリティをアピールすることだ。
ゴルスタは、24時間体制ですべての投稿内容が監視されているという。だが、その監視に疑問を投げる声も増えてきている。利用者から、「監視が厳しすぎて利用するのが気持ち悪い」との声も少なくない。
また、アプリに登録する際の警告文があまりにも稚拙なため、「詐欺サイトのようだ」と懸念する意見も多い。それは、中高生以外の登録を排除するための警告で、以下のように記載されている。
「全ての投稿を監視しており、中高生以外を発見・強制退会および警察当局に即時に通報を行っており、あなたの住所・電話番号・居場所全てが特定・追跡され、未成年への犯罪の疑いで逮捕されます。未成年への犯罪は親告罪ではないので、犯行発見次第、逮捕・起訴されます」
十分に推敲されていない文章で意味がわかりづらいが、要するに「全ての投稿を監視しており、身分を偽っていた場合は強制退会や警察に通報する措置を取る」ということのようだ。だが、仮に成人が中高生であると偽って登録したところで、違法行為は成立しない。
運営側の意図は、「中高生に売買春をもちかけるなど、犯罪行為を誘発する書き込みがあれば警察に通報する」ということかもしれないが、「未成年への犯罪の疑いで逮捕」という非現実的な脅しがインターネット上で多くの反発を招いている。
スプリックスは、経営面は優良だ。だが、塾市場は少子化によって、将来的に少ないパイを奪い合う事態になることが確実だ。そのため、今から中高生のデータを効率よく入手するためにアプリを投入したわけだ。
あやしいベンチャー企業が立ち上げたアプリではないという点で一定の信用はできるが、学習塾経営企業らしからぬ稚拙な文章が不安を招く要因となっているのが残念すぎる。
大人たちは入ってこられない空間があり、気の合う友達がつくれる。また、気軽に投稿でき、場合によっては自分がアイドルになれるかもしれないというゴルスタは、今後も中高生に広く浸透していくだろう。面白いアプリだけに、スプリックス側には極めて慎重な運営を期待したい。
(文=西山雄基/マーケティングコンサルタント、ジャーナリスト)