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もうブラック企業なんて呼ばせない!ワタミ、解体的「脱ブラック化」改革の内実

構成=小野貴史/経済ジャーナリスト
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 本書のテーマを考えると、創業者の渡邉美樹さんのインタビューは必ず掲載したいところでしたが、これは結果的に見送りになりました。渡邉さんがいくら真摯に話した内容だとしても、一部の言葉が切り取られてそこだけ報道されたり、渡邉さんが持論を発言すると、一般論を語っただけでも「いまだに反省していない」と受け取られたりするなど、過剰な反応を引き起こしてしまう懸念があったからです。

――でも、渡邉氏本人は取材に対して大変前向きだったのでしょう?

新田 そうでしたね(笑)。ただ、渡邉さんへの取材にまつわる一連の経緯を見るなかで、ワタミが「脱・創業者」を本気で志向していて、渡邉さんからも独り立ちした会社になろうとしていることが垣間見られて、これも変革のひとつではないかと感じました。

悪意はなく「善意」がベースになっている

――そもそも、なぜワタミはブラック企業になってしまったのでしょうか。

新田 これはどの成長企業にも当てはまることなのかもしれませんが、ワタミは最盛期で年間100店舗を出店するほどの急成長を続けていたにも関わらず、その成長に対して会社の管理体制やシステムが中小零細企業時代のままに据え置かれた状態でした。しかも社員には「素直な頑張り屋さん」が多かったので、その状態のままなんとかキャッチアップしようと頑張り、無理が続いてしまったことが、大きな問題につながったと考えています。

 世間がイメージするブラック企業とは、「経営者が悪意を持って私利私欲のために若者を使い潰す」という構図ですが、私が見てきた限り、ワタミはその構図に当てはまらないと考えています。渡邉さんをはじめ経営幹部も皆さん真摯に世の中に良い影響を与えたいと考えて、居酒屋という“おじさん”相手の業態をファミリー層にまで広げ、健康に良い料理を安く提供するという社会貢献的なミッションを持っています。そのミッションに共感した人たちが入社してきたので、社員は素直で人柄が良く、「頑張ればなんとかなる」という思いで急成長を続けてきたのです。その成長にマネジメントのレベルが追いつかない状況に対しても、経営陣は「これまでなんとかやってきたのだから、なんとかなるだろう」という考えでした。

 さらに、渡邉さん自身は異様に成長意欲が高く、超人的な努力もできる人なのですが、自分と同じぐらいの努力や成長を社員にも求めてしまったのです。

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