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JR北海道、経営危機的状況突入…「維持困難路線」発表へ、修復費用捻出できず運休続出

文=編集部
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JR北海道、経営危機的状況突入…「維持困難路線」発表へ、修復費用捻出できず運休続出の画像2現在運休中の日高本線の沿線風景

 経営全般で見ると、2009年度は営業費用(支出)が1097億円だったのに対し、営業収益は847億円しかなかった。会社発足時に導入された経営安定基金の運用益242億円を中心とする営業外損益252億円を加えて、なんとか2億円の経常利益を計上した。

 ところが今後、施設の老朽化などのため修繕費が大幅に増えることもあり、「180億円規模の経常損失を計上することになる」としている。

「87年の分割民営化から30年、JR北海道はこれまで大幅に路線を縮小、社員数も1万3000人から約7100人にまで減らし、不動産の売却なども行ってきました。分割民営化前の国鉄時代には営業キロが4000キロあったのが今は2586キロですから、35%も整理したことになります。それでも、輸送客数が少ないことに加え、冬場の除雪対策を含めた路線維持、修繕コストが大幅にかかることから、経営は常に厳しい状況にあります」(道内の交通事情に詳しいジャーナリスト)

 今回の台風で複数の橋梁が流失したが、道内にある橋梁は3000超。そのうち半数が経年50年以上、約1割は100年超だ。176カ所あるトンネルは、約3分の1が経年50年以上、21カ所が100年超である。経年に加え、冬場の凍結による傷みが修繕・維持コストの増加につながっている。

 日高本線は15年1月に海岸線沿いの厚賀-大狩部間の土砂が高波によって削り取られたため不通となり、いまだに鵡川-様似間116キロメートルは運休のままだ。57億円かかるとされる完全復旧費用を捻出できないため、必要最小限の修繕を行ったうえで運転再開を目指すとしているが、費用の捻出をめぐる国土交通省との折衝も難航しており、先行き不透明だ。

「日高本線は鉄道輸送密度(平均通過人員=1日1キロメートル当たりの平均輸送量)が500人未満です。利用客が少ない路線の復旧に巨額の費用はかけられないというのが実情です」(同)

 先送りになっている「単独維持困難路線」の公表だが、道内ではさまざまな路線名が候補としてささやかれている。その目安は、日高本線のような輸送密度500人未満の路線だ。

【輸送密度500人未満の路線】(14年度決算)

・留萌線(留萌-増毛) 39人
・札沼線(医療大学-新十津川) 81人
・石勝線(新夕張-夕張) 117人
・根室線(富良野-新得) 155人
・留萌線(深川-留萌) 177人
・日高線(苫小牧-様似) 298人
・宗谷線(名寄-稚内) 405人
・根室線(釧路-根室) 436人
・根室線(滝川-富良野) 460人
・釧網線(東釧路-網走) 466人

 このうち留萌線の留萌-増毛、石勝線の新夕張-夕張間については、すでに自治体との間で廃線となることが合意されている。

BusinessJournal編集部

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