また、解雇予告義務を定めた労働基準法20条に違反した場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される可能性があります。
さらに、労働組合法7条に違反し、不当労働行為に該当する疑いがある場合には、労働組合の申し立てにより、労働委員会による調査や審問を受けなければならず、調査や審問の結果、不当労働行為があると認定されれば、救済命令が発せられ、ワーナーは自社が不当労働行為を行ったことを自ら告知する掲示(ポストノーティス)をしなければならなくなるおそれがあります」
では、もしA氏がワーナーを相手に地位確認と賃金支払いを求めて訴訟を起こした場合、どのような展開・判決が予想されるのであろうか。
「現時点で判明している事情からすれば、A氏の解雇が無効とされて、従業員たる地位が認められる判決が下される可能性が高いといえます。
ただ、訴訟において、解雇の無効と従業員たる地位を認める判決を得たとしても、それを使用者が拒否してしまえば復職を強制執行する手段がないことや、無理に復職しても使用者側から嫌がらせ等がなされることがあるため、現実には復職を実現することは難しい場合が多いといえます。そのため、裁判所は、そのような実態を踏まえて、解決金の支払いを条件とする合意退職を内容とする和解を勧めることが通例です。
本件におけるA氏も、復職することを望まれているようですが、訴訟中に裁判所から同様の和解案を提案されて和解する可能性は十分にあると考えられます」
それでも復職を願うA氏
本件について当サイトがワーナーに問い合わせたところ、次のような回答を得た。
「貴社からお問い合わせのありました件につきましては、現在、元従業員において東京地方裁判所への提訴を予定しており、また、東京管理職ユニオンにおいて東京都労働委員会への申立てを予定している状況にありますので、回答については控えさせて頂きます。当社の主張については、上記の各手続きの中で行わせていただく所存です」
A氏は今の心境をこう語る。