セブン&アイ・ホールディングスが百貨店事業を大幅に縮小し、関西圏から事実上、撤退する。そごう神戸店、そごう西神店、西武高槻店の3店を、阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングに譲渡する。
セブン&アイとH2Oは資本業務提携し、相互に57億円分の株式を持ち合う。セブン&アイはH2Oの発行済み株式の3%、H2Oはセブン&アイ株式の0.1%程度を取得する。そごう神戸店などの譲渡金額や時期は今後、両社で詰める。
セブン&アイは2006年にミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を買収。百貨店業界の再編を主導した。これまでに百貨店事業に4000億円以上を注ぎ込んできた。
しかし、セブン&アイが10月6日に発表した16年8月中間連結決算で、百貨店事業は18億2300万円の営業赤字となった。前年同期より赤字額が9億5400万円拡大しており、百貨店事業の立て直しが急務となっていた。
滋賀県の西武大津店など小規模店は残るが、関西圏での百貨店事業から撤退する布石と受け止められている。
代わって首都圏の旗艦店の東京・西武百貨店池袋本店(16年2月期の売上高1900億円)や、そごう横浜店をテコ入れし、競争力を高める。
セブン&アイの井阪隆一社長は10月6日の記者会見で、「百貨店市場の縮小は不可避。地域の1番店と2番店以下の差は拡大する。関西1番店を有するH2Oとの提携は本当に意味のあることだ」と述べた。
井阪氏は「7月中旬ごろ、我々(セブン&アイ)から提携をお願いした。(H2Oは)店舗運営などで高い能力を持っていると以前から思っていた。業務が円滑に運ばれるよう、相互に3%出資する」とした。
一方、H2Oの鈴木篤社長は10月6日、大阪市内で記者会見し、「(そごう・西武の)3店が立地する場所は、我々(阪急阪神百貨店)の名前を知らない消費者がいない地域。強みが生かせる」と強調した。「店名をどうするかなどについては現時点では未定」としたが、当然の成り行きとして阪急百貨店に看板が掛け替えられることになるだろう。
鈴木氏は「有料で不動産を含めて事業を承継する。(時期については)1年以内を目標とする」と語った。