消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
合併延期の発表により10月13日、出光の株価は前日比6%安、昭和シェル株は5%安と急落した。創業家が合併反対を打ち出して以来、両社の時価総額は約460億円減少している。つまり、多くの株主が損失を被っている。
9月に入り、出光の販売店組織「全国出光会」が合併に賛成の立場を表明し、創業家と経営者側に話し合いの再開を要望した。経営合理性という観点から創業家はその論点の「理」を持たないとしたら、創業以来取引のある販売店の離反により、「義」を失ったというべきだろう。
全国出光会のアプローチに対しても、昭介氏は面談の扉を開けようとしていない。いわば「聞く耳を持たない」。これはしかし、同社が創業以来標榜してきた大家族主義と大きく異なる対応ではないだろうか。この頑なな態度で昭介氏は大家族からの「信」を失っていると知るべきである。
全国出光会が仲裁に乗り出したのを契機に、創業家側は扉を開き、矛を引くタイミングとすべきである。
経営は現役経営陣に任せるとして「よきに計らえ」とするのが、世に尊重される大オーナーというものでないだろうか。それが、創業家に残った「名」を残す、輝かす途ということになるだろう。
「名誉会長がハーバード大学に入ったのは英邁なことだった」
こんな称賛を今後、出光社員から聞くようなことはあるのだろうか。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
※ 本連載記事が『間違いだらけのビジネス戦略』(クロスメディアパブリッシング/山田修)として発売中です。
Business news pick up
RANKING
5:30更新関連記事
2024.11.22 06:00
2024.11.21 18:05
2024.11.21 18:00
2024.11.20 22:21