球団は、4年前から米大リーグ(MLB)を中心に70以上のスタジアムを視察。球場に隣接するビルから観戦できる大リーグ、シカゴ・カブスの本拠地のリグレイ・フィールドをまねて、外野席の後ろにビルを建て、屋上でバーベキューを楽しめる飲食スペースを設ける構想を持っている。
ビルの外壁は横浜の赤レンガ街に溶け込めるように赤レンガとする。港町・横浜の景観に溶け込んだボールパークをつくるつもりだ。
DeNAが横浜スタジアムを連結子会社にしたのは、球場と球団の一体運営が黒字への近道と考えたからだ。
横浜スタジアムの16年1月期の売上高は39億6300万円、営業利益は4億3800万円、純利益は4億4400万円。純資産は150億4900万円で自己資本比率は98.25%に達する。こんな優良会社をDeNAは74億2500万円で買収したのだから、「安い買い物」(アナリスト)だった。今期は、横浜スタジアムの業績がDeNAの連結決算に上乗せされる。スタジアムの広告収入、飲食店、グッズの売り上げ、野球以外の興行による収入を取り込める。
座席を球団のカラーのブルーで統一し、球場内の飲食店も見直した。耐震補強を含め、一連の設備投資額は数十億円に達したが、それでもオツリがくる絶好調ぶりなのだ。
池田球団社長が退任
球団躍進の立役者である池田氏が任期満了に伴い、今シーズン限りで退任した。池田氏は北海道生まれ。早稲田大学から住友商事、博報堂を経て07年にDeNAに入社。09年に執行役員マーケティングコミュニケーション室長に就いた。ベイスターズの買収に伴い、11年12月、12球団中最年少の35歳で社長に就任した。
池田氏は親会社でマーケティングを担当していたこともあって1年目に徹底したマーケティングを実施し、多くのファンを獲得した。11年に110万人だった観客動員数は今季、球団史上最多となる193万人超を達成。また、球団初の外国人指揮官となるラミレス氏を監督に招聘し、初めてCS進出を果たした。池田氏の後任社長がハマスタのボールパーク構想の実現に向けて邁進することになる。
(文=編集部)
【続報】
11月4日に発表したDeNAの16年4~9月期の連結決算の営業利益は前年同期比34%増の152億円となった。横浜スタジアムの観客動員数が伸び、スポーツ事業の営業利益は2.1倍の39億円で全体の25.7%を占めた。横浜ベイスターズが業績を下支えした格好だ。営業収益(売上高)は2%増の765億円。スポーツ事業の売上高は117億円で51%増となり、全体の15%。1月に横浜スタジアムを連結子会社にしたことから、球場内の飲食や物販が売り上げに寄与した。今年の主催ゲームの観客動員数は過去最多の194万人に達した。