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高橋篤史「経済禁忌録」

あの元楽天副社長、いわく付き企業社長として窮地&孤軍奮闘…反社勢力の詐欺を回避

文=高橋篤史/ジャーナリスト
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 その後、株主が目まぐるしく変遷するなか、ある人物が取締役に就任する。その人物は、和牛預託商法で一般投資家から集めた巨額のカネが泡と消えた「安愚楽牧場」の裏側で暗躍した新興仕手グループと接点があった。その関係でリミックスポイントは「Dymagin Global」なる正体不明の香港のペーパー会社により筆頭株主の座を占められ続けた。さらに新電力事業で14年に当時売り上げを急速に伸ばしていた日本ロジテック協同組合と提携したものの、その背後には千葉県内で経済事件をたびたび引き起こしてきた人物が蠢いていた。

新規事業を物色

 そんなリミックスポイントに國重氏が入ったのは、取締役のひとりから相談を受けたことがきっかけだったという。共通の知人と共に3人でたまたま酒の席を囲んだ時のことだった。國重氏は三井住友銀行時代にインターネット証券事業の立ち上げ責任者となり、そこが楽天に買収された経緯からそのまま移籍し、三木谷浩史社長の右腕として副社長を務めた。金融事業を収益の柱に育てるなど、楽天における功績は多大だ。が、14年4月、週刊誌に女性問題が報じられ、思わぬかたちで辞任してしまう。その後は東京都内の教育関連ベンチャーで非常勤の会長をしていた。

 相談を受けた國重氏は、弁護士らによる第三者委員会を立ち上げて社内調査を行うことをアドバイス。それが会長就任へと話が発展することとなる。この時点では新興仕手グループによる経営関与の有無や日本ロジテック協同組合の背後関係などについて、國重氏は十分に把握できていなかったようだ。

 入社後、國重氏は経営正常化のためまずは日本ロジテック協同組合との取引から撤退することを決める。リミックスポイントは同協組に対し10億円超の立替金があり、共倒れになるリスクさえあった。抵抗はあったものの、昨年11月12日付で提携を解消、同月末には立替金を全額回収することに成功したという。

 他方、新興仕手グループの首謀者と目される人物とは接触していないが、國重氏は部下を通じてDymagin Globalとの交渉も試みた。背景事情は定かでないが、Dymagin Globalは今年春頃までに持ち株をほぼすべて売却したものとみられる。

 しかし、状況が落ち着いたとはとてもいえない。現在、筆頭株主にあるのはやはり香港の会社だが、國重氏によると代表者には会えたものの、素性にはなお不明な点が多い。また今年7月には最大で約25億円の資金調達となるエクイティファイナンスを実施したが、引受先に名乗り出た香港系ファンドの資金的背景もやはりよくわからない。

高橋篤史/ジャーナリスト

高橋篤史/ジャーナリスト

1968年生まれ。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て2009年からフリーランスのジャーナリスト。著書に、新潮ドキュメント賞候補となった『凋落 木村剛と大島健伸』(東洋経済新報社)や『創価学会秘史』(講談社)などがある。

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