バウンディ社は、ノア社がレンタル中止を求めた直後の11年4月5日にCDの廃盤を通知。バウンディ社のノア社への通知には「業界秩序を逸脱する行為があった」とある。しかし、どのような行為が「業界秩序を逸脱する行為」に該当したのか説明はない。
食い違う見解
今回CDを製造し、50万100円の賠償支払い命令を受けたタッズ社代表(当時)の小針俊郎氏に、話を聞いた。小針氏はエフエム東京のジャズディレクターとしてジャズ音楽番組のプロデュースを手がけた後、タッズ社代表になった。
小針氏によると、「レンタルやインターネット配信を行うことは、ノア社に口頭で説明していた。せっかく販促に努力してやったのに好意を無にされた。音楽著作者印税についても、郵便書留で支払っている」という。ただし、書留で著作者印税の一部である約1万9000円が支払われたのは提訴直前なので、印税について誠実に対応していたとはいいがたい。
トラブルになった後も、スペース社がネット配信を続けた理由について小針氏からは、「海外の配信業者もいるから、急に配信を止めることは難しいのでは」という回答しか得られなかった。ちなみに小針氏は、現在はタッズ社と関係がないようである。もともと自分で設立した会社でなく、頼まれて代表に就任したという。ちなみにタッズ社の実質的なオーナーについて聞くと小針氏は、「裁判とは関係ないから」とのことであったが、スペース社の弁護士の説明では、実質的オーナーは外資系企業だという。
一方、ノア社側の説明によれば、インターネット配信は止めようと思えば簡単に止められるはずだという。スペース社は国内のインディーズ系アーティストの音楽等を、海外で積極的に売り込むことをアピールしていた。そのため、アーティストと著作権でトラブルになったことを知られたくなかったゆえに、配信を止めなかった可能性もある。
スペース社の見解
スペース社によるとノア社に対する著作権法違反の内容は、支払われるべき印税がノア社とShimaに支払われていなかったことを意味し、著作者印税未払いにも該当する。本件についてスペース社の法務部や総務部に見解を求めたところ、「弁護士に任せているので、そちらに聞いてください」としか回答が得られなかった。