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2016年7~9月期の売上高は対前年比7.5%減少し、これに伴い売上総利益、営業利益、当期純利益とも下落しています。この先、赤字に転落する可能性もゼロではありません。
しかし、「業績の悪化」と「経営危機」を一緒くたにするのは正しくありません。経営危機というのは、短期的な意味での倒産の可能性がみられる状態です。それは、決算書データをみるうえでは、まったく見当たりません。
これに対して、「業績の悪化」は、株価の下落の原因となるものです。確かに、今回の事件では業績が悪化し、大きな株価の下落要因が生じました。これは、確かに大きな要素です。とはいえ、これだけでサムスンの経営は崩壊しません。
近著にみるサムスンの素顔
そういう点で、今年9月に出版された『サムスン崩壊』(勝又壽良/宝島社)は注目に値する書籍でした。本書は、サムスンの内部に潜む問題点をえぐり出した書籍です。この書籍に書かれていることは、サムスンをはじめとする多くの韓国企業が抱えている課題でもあり、サムスンが中長期的に克服すべき課題も書かれていました。
しかし、どの会社も中長期的な課題を抱えており、なにもサムスンに限ったことではありません。サムスンの場合、今日のような事態に直面したこともあって、経営上の問題点が浮き彫りにされてきたといえます。今後のサムスンは課題に取り組む必要がありますが、現在までの堅実な財務内容をみる限り、短期的には経営危機とは無縁です。
つまり、サムスンには課題を克服するための十分な時間が与えられています。この先、サムスンが前出『サムスン崩壊』で指摘された課題を克服することを祈ってやみません。
(文=前川修満/公認会計士・税理士、アスト税理士法人代表)
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